2009年にニューヨークの名門ヴィレッジ・ヴァンガードで録音されたライヴ盤。本作はアーヴィング・バーリンの「be Careful It's My Heart」を除き、新旧のモチアンによるオリジナルで構成。1931年生まれで録音時77歳のドラマー、ポール・モチアンが本作で組んだのは、40歳年下の1971年生まれながら長く一緒にプレイしてきたテナー・サックス奏者クリス・ポッターと、それよりさらに4歳若い1975年生まれのピアニスト、ジェイソン・モラン。モチアンはモランの強い左手の演奏に惹かれ彼を生かすためにベーシストなしの本トリオを結成。深くセロニアス・モンクに影響を受けているモランの演奏は1950年代にモンクと一緒に演奏していたモチアンのモンキッシュで頑固な演奏とハマリ実に見事。様々な“間”で3人それぞれの音が自由に浮かびあがる。
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「もうツアーに行くのは絶対にイヤ。」と公言して数年、そろそろ80歳(!)をお迎えになるニューヨーク在住大御所ドラマーの変則トリオでの新作。クリス・ポッター(ts)とジェイソン・モラン(P)を迎え、一期一会な音世界。近年チャールズ・ロイドのバンドに加入以来、新境地を開きつつあるモランのピアノとモチアン師匠のインタープレイが、危険で美しい響きを醸し出す。ジャズの代名詞とも言える、ビル・エヴァンスのあの歴史的名盤『ワルツ・フォー・デビー』でドラムを叩いていたのが半世紀ほど前、まさしく人に歴史あり。
intoxicate (C)稲田利之
タワーレコード(vol.85(2010年4月20日発行号)掲載)