2000年代ジャズ・シーンにおいて最も重要なギタリスト、カート・ローゼンウィンケルの2009年作はトリオ編成によるスタンダード集。革命児的存在として常に先頭を走り続けた1990年代から2000年代前半。前作『DEEP SONG』において現代ジャズの一方向を指し示し、長い沈黙後の発表となった本作は、トリオ編成によるジャズ・スタンダード集。ジャズ史上に陳列されている数々の名スタンダード盤たちの中に鋭く切り込み、最も新しい光を放つ。過去の名盤と現在のシーン、アメリカとヨーロッパ、他音楽との融合など、時間の経過とともにジャズが背負い込んだ問いに答えるかのよう。ベースにエリック・リーヴス、ドラムにエリック・ハーランドを迎えて、研ぎ澄まされた長尺のソロ、天才的な音の配置が“次のジャズ”に引き入れる。
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タワーレコード
現在のNYジャズシーンにおける最重要ギタリストによる最新作。エリック・ハーランドがドラム、ベースにブランフォード・マルサリスとも共演するエリック・レビスという、渋くも手堅いメンツに支えられ、カートのギターは奔放に、かつ繊細に音色を奏でているように感じる。オリジナルが1曲、モンクやショーターのスタンダードが7曲、計8曲のバラード集。バラード集にありがちな、大人しいだけの演奏ではなく、楽曲の展開も多彩で説得力に溢れた1枚です。夜更けと夜明けを彩るベッドタイム・ミュージック。
intoxicate (C)大江雅幸
タワーレコード(vol.83(2009年12月20日発行号)掲載)