前作『キャッチング・テイルズ』のリリースから4年、世界ツアー、1年間のオフの後にゆっくり時間をかけて製作された待望の2009年アルバムは、カウント・ベイシー・オーケストラをフィーチャーしたコール・ポーターのスタンダードに始まり、エルトン・ジョン+ベン・フォールズ的な極上ポップス、リアーナの大ヒット曲「Don't Stop The Music」、ティム・バートンの映画『Sweeney Todd』からの「Not While I'm Around」では、マッシヴ・アタック「Teardrop」のドラム・グルーヴにソンドハイムの曲を被せるなど、とことん自分の好きなテイストをジャンル関係なく散りばめた、ジェイミー持ち前のセンスが全て表現されています。アルバム・タイトルは1940年代~70年代に活躍したイギリス人女流作家ナンシー・ミットフォード原作による名作『THE PURSUIT OF LOVE』からつけられていますが、タイトルどおり本作は彼の様々な音楽の趣味+永遠に色褪せることのないスタンダードやジャズへの愛を限りなく追求した自信作となっています。※こちらはDVD付きの初回限定デラックス・エディションになります。
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タワーレコード
Acclaimed by critics as Jamie Cullum's strongest album to date, 'The Pursuit' finds the Essex-born crossover jazz pianist in eclectic mood. This follow-up to 2005's 'Catching Tales' was recorded at his home studio as well as in LA and features self-penned material alongside tracks written by Cole Porter amongst others.|
Rovi
008年夏にはほぼ完成していたが、映画「グラン・トリノ」の主題歌を頼まれたりで発表が遅れてしまった4年ぶり5作目。しかし待たされただけはある。本物しか認めないイーストウッドの耳はやはり正しい!と勝手に唸らせてもらいます。コール・ポーター作のスタンダードをカウント・ベイシー・オーケストラと爽快にライヴ録りし、エルトン・ジョン&べン・フォールズ的な蒼さを発散する出だしから、万人に沁みる傑作の佇まい。と思えば、ポーティスヘッドにも通じる煙たいヴァイブが滑り込んできたり……やはりUK男子ですな。しかし何より生来のロックセンスをジンワリと滲ませるハスキー・ヴォイスの揺らめきが最高。優雅であり、ストリート的であり、ジャズを放つ歌い手としていまこのバランスは最強です。
bounce (C)池谷修一
タワーレコード(vol.317(2009年12月25日発行号)掲載)