不動のドラマーである、石橋英子もブレイクし、NATSUMENのAxSxEが全編に渡りエンジニアを担当果たしてラッキー7と出るか?!!のメンバー会心の問題作。
やや歌っている風の「the electric sea」、「Girls on the floor 1」、「Girls on the floor 2」など、ボーカル吉田の意識には常にニック・ケイヴと寺尾聰がいたらしく、今までの作品では登場していなかった低音ボイスで歌われるこれら3曲は、今作のカラーをある意味決定的にしているかもしれない。
とは言え、「north of border」やタイトル曲の「a girl supernova」「siren」などpanicsmile節とも言える、変化球だらけの素っ頓狂なヘヴィチューンもあり、一体何重人格なんだ??!といったビリー・ミリガン状態でもある。
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タワーレコード(2024/11/15)
最近ではドラムの石橋英子の活躍も目覚しいが、まずなによりも本作は現メンバーによる最後の作品なのだ。17年目の7枚目となっても相変わらずNEW WAVEも真っ青な、ビートは変拍子を刻み、ギターノイズが響き渡る。そして素っ頓狂な言葉が並べられる。が、そこに今まではなかったような吉田肇による〈聴かせる〉ヴォーカル曲が挟まれ、PANICSMILE節全開の楽曲とのアンバランス/コントラストは、まさにタイトルの如し、淡い期待すらさせる。目眩すら覚えるこんな問題作を残すなんて、らしすぎる。
intoxicate (C)竹内勇季
タワーレコード(vol.83(2009年12月20日発行号)掲載)
もはや存在自体がオルタナティヴな4人組の7作目。現メンバーによる最後の作品(涙)となったこの新作でも、弛緩した変拍子と自由すぎる歌(たまに雄叫び)から派生するイビツなグルーヴは健在だ。聴いているうちに何も手に付かなくなること必至だが、〈女子についてのうた〉をテーマにした〈GIRLS ON FLOOR〉諸曲などにはなぜか寺尾聰を意識したという歌心も……。徹底したハズシの美学に地下シーンのカリスマの真髄を見よ!
bounce (C)土田真弓
タワーレコード(vol.316(2009年11月25日発行号)掲載)