人間ドラマのストリングス・サウンドを聴きたくなる一作。

『セール・オブ・ザ・デッド』(2008)
サウンドトラック

音楽 ジェフ・グレイス
監督 グレン・マッカイド
主演 ドミニク・モナハン、ロン・パールマン

18世紀のイギリスを舞台に、墓あらしの泥棒がゾンビに襲われるコスプレ・ホラー。スラムダンス映画祭2009のコンペティション部門に出展され、話題に。主演は「ロスト」のドミニク・モナハン。監督は、こちらもムービースコア・メディアでCD化された『TRIGGER MAN』や『THE LAST WINTER』などでは特撮を担当しているグレン・マッカイド。ジェフ・グレイスによる音楽は、18世紀のイギリスだけに、ホラーといえども、ロックや大仰なオーケストラではなく、上品で余裕に満ち、少しのユーモアが加味され、かつ、トラッド的な要素もほの聴こえる室内楽的ストリングス主体の編成。シンセの音もしません。印象としては、これがホラーであるということを忘れて、デスプラやマリアネッリあたりのアイデア豊かなストリングスを聴かせてくれる作曲家の音のファンに聴いてみていただきたいな、と感じます。というか、ジェフ・グレイス、真剣な人間ドラマでのストリングス、聴いてみたいですね。 (C)馬場敏裕