世界中でUSインディーズ界のカリスマとして君臨、日本でも熱狂的なファンに支持されているヨ・ラ・テンゴが、フリー・ジャズの要素を感じさせるクワイエットな作風で、またも新境地を開いた2003年発表、通算10枚目のアルバム。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
タイトル通り、「夏の日の太陽」なアルバムでないのが、ヨ・ラ・テンゴ。その当時傾倒していたフリー・ジャズの要素を感じさせる作品。基本は非常にシンプルなセット―ギター、ドラム、ベースに加え鍵盤やホーンがたまに入る、による内容。ジョージアのドリーミーな歌声、ノイジーさとソフトさ、そして中毒性のあるサウンドはさすがヨ・ラ・テンゴ!(2003年作品)
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タワーレコード
この前風呂に入りながらヨ・ラ・テンゴの温度はどれくらいだろうと考えた。新作のタイトルは〈夏の太陽〉、でもジャケに写るメンバーは寒そうで“Winter A Go-Go”なんて曲も収録。で気付くのは、あのフィードバック・ノイズが闇に溶けて消えてしまったことだ。濃密な気配を滲ませたメロディーと歌声がゆらゆらと揺れている。その歌に温度計をあててみれば、果たして彼らは〈ホット〉なのか〈クール〉なのか。長年のプロデューサー、ロジャー・モウテノットとのコラボレーションでさらに拡がった新しい風景。ジャズのセッションのように流動的で、ロックンロールの甘酸っぱさも忘れちゃいない。それに“Let's Be Still”で聴かせるヘヴンリーなアンビエント感といったら! 余計なことを言い過ぎた。いまヨ・ラは最高の湯加減だ。ビッグ・スターからサン・ラーまで、みんないっしょに首まで浸かって楽しんでる。もちろん僕も、そしてキミも!
bounce (C)村尾 泰郎
タワーレコード(2003年4月号掲載 (P89))