ソロでのメジャー・デビューから5周年となる、2009年の"KREVAの日=9月8日"にリリースのオリジナル・アルバム。シングル「青」で静脈、「赤」で動脈を表現した上で完成した『心臓』。メロウな楽曲からライヴで映えるアッパー・チューン、意味深なラストまで"心血を注いだ一枚"となっています!! (C)RS
JMD(2010/06/14)
静脈「青」と動脈「赤」が形づくる「心臓」というアルバムは、メロウなムードで名曲、佳曲揃いの前半から一転、ライブで盛り上がること間違いないアッパーな曲の後半、さらに意味深なラストまで、音楽的にも高い質を保ちながらもポピュラリティもしっかりキープした素晴しい内容に。 さらに、いままで以上に幅広いユーザーが共感できるリリックの内容は、4枚目のオリジナル・アルバムにして多くの新規ファンを獲得すること間違いなし。
タワーレコード
きっといつまでも死ぬ程好き/君を一層素敵にしたい〉──なんてストレートに告白するオープニングの“K.I.S.S.”をはじめ、メロウなラヴソングがずらりと並んだニュー・アルバム『心臓』の前半に、昨年結婚したKREVAの心境がはっきりと表れている。ヴォイス・パーカッションやオートチューンをさらりと使った多彩なアレンジも効いてはいるが、何よりそのメロディーとリリックそのものの美しさが魅力的な作品だと言えよう。先行シングル『青』と対になる形で発表された『赤』にも収録の“瞬間speechless”における、好きな人の前だと何もできなくなってしまう男の姿や、“Tears In My Eyes”で丁寧に綴られる男泣きの心情をKREVAに歌われた日には、世の女性はきっとメロメロなんだろうなあ、なんて。ただ、これらは流行りの〈泣ける歌〉とはまったくの別物。聴き手に寄り添って心情を重ね合わせるための曲ではなく、ここで歌われているのはおそらく彼自身のことであり、その点において本作は実に彼らしい作品なのである。象徴的なのが古内東子をフィーチャーした“シンクロ”。〈恋愛の神様〉と呼ばれ、みずからの恋愛経験のみを歌う彼女の起用は、シティー・ポップ風のエッセンスを楽曲に盛り込むと共に、KREVAの現在と文字通りシンクロし、作品の作家性を見事に高めている
bounce (C)金子厚武
タワーレコード(vol.313(2009年08月25日発行号)掲載)
素晴らしい。アルバムは2年ぶりということだが、その間にはSEEDAと絡んだり、くLabelで後進をフックアップしたり、SONOMIをはじめとするプロデュース活動に力を注いだり、何かと動きが活発だったこともあって、KREVA本人の存在感というのもいっそう大きくなっていたような気がする。で、今回の『心臓』を聴いて率直に連想したのは、カニエ・ウェストの『808s & Heartbreak』だった。ジャケにハートをあしらい、全編オートチューンで歌った同作のムードは、失恋や傷心というテーマとは真逆のトーンだとはいえ、こちらも加工ヴォイスを忍ばせながらまろ味を増したKREVAの歌い口に通じるものがある。思えば、ネリーのフロウを意識したようなKICK THE CAN CREW期から、最高だったソロ・デビュー作『新人クレバ』にて踏み込んだ歌寄りの路線まで、声も音として用い、リリックでリズムを織り成し、メロもビートとして扱う、つまりは(原理主義的なヒップホップじゃなく)現行のアーバン音楽と同じおもしろさをあれこれ追求してきたわけで、随所にT・ペインやドリームとの本質的なシンクロが感じられたりするのも当然の帰結なのかもしれない。そんなわけで、個人的にはかつての逸曲“音色”を大発展させたような真摯な音(声=詞=旋律)遊びが全開になっていて大満足。何かあきらかに凄いところまで来てる、んだけど普通に聴けるのがもっと凄いわ。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.313(2009年08月25日発行号)掲載)