バンドとしてのプリミティヴな有機性が爆発し、演奏能力もかつてなく熱く鋭くまとまっている、2003年に発表されたレディオヘッドの第6弾アルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ 』のスペシャル・エディション盤。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
2003年に発表された6thアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』。それまでの5枚のアルバムを踏まえたバンドの集大成ともいうべき作品。前作までに得た革新性を継承しつつ、その間に出たライヴ盤『アイ・マイト・ビー・ロング』も良い布石となり、バンドとしてのプリミティヴな有機性が爆発。演奏能力もかつてなく熱く鋭く高まっている。今回のボーナス・ディスクではシングルBサイド曲がまとめて手に入るのに加え「セイル・トゥ・ザ・ムーン(フロム・ジョー・ワイリー・ショウ)」「ゴー・トゥ・スリープ(フロム・ゼイン・ロウ)」のここでしか手に入らないような貴重ライヴ・トラックを収録。スペシャル・エディションのDVDにはプロモ・クリップに加え、貴重なTVパフォーマンス映像が4曲収録されているのが嬉しい。こちらの初回限定生産スペシャル・エディションは、当時TV出演した時のパフォーマンス映像など/貴重映像を収録したDVD付の永久保存盤。日本盤のみ歌詞/対訳/解説掲載の別冊ブックレット付き。スペシャル・エディションのみオリジナル年表収録。
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タワーレコード
ロック界にとっても彼ら自身にとっても一大転機となった2部作──『Kid A』および『Amnesiac』から2年、引き続きナイジェル・ゴッドリッチと共同プロデュースした新作が登場。詞の面では〈邪悪で巨大な得体の知れぬ権力に対峙するヒューマニティー〉とでも総括できそうな統一感がある一方、サウンド面はかつてないほど多彩だ。聴き手をアブストラクトな混沌の坩堝に放り込むエレクトロニック・トラックから、ピアノを伴った美しいバラードやルーツ的な趣のギター・ロックまで、一切制限を設けずにクリエイティヴィティーの蓄積を瞬間的エネルギーに包んで放出したかのよう。1年間の実験的作業から誕生した前2作品に対して今回は2か月でレコーディングが完了したことからも窺えるとおり、本作はユニットとして成熟した絶好調な状態を誇示するキャリアの集大成と呼べるものかもしれない。
bounce (C)新谷 洋子
タワーレコード(2003年06月号掲載 (P73))