カレン・ダルトンの再来と謳われ、若き日のジョニ・ミッチェルにもなぞえられる、ハワイ出身・カリフォルニア在住の女性シンガー・ソングライター、シモーン・ホワイト。一度聴いたら耳を離れない柔らかで小気味いいフレージングと、繊細なフィンガーピッキングに導かれたフォーキーでブルージーなサウンドには、完全に時代を超越してしまったかのような心地よさがある。遠い記憶の底から聞こえてくるような懐かしい呼び声。ある冬の夜、石焼き芋売りの軽トラックから流れてくるあの声を耳にしてえもいわれぬ郷愁を覚えたという、シモーンの日本ツアー中の実体験から生まれた表題曲「やきいも」をはじめ、それぞれが鮮やかな情景を喚起する12曲を収めた、はかなくも美しい傑作小品集。
タワーレコード
現実と非現実の狭間を儚げにたゆたう幽玄な歌声、それはまるでカレン・ダルトンを生き写しにしたかのよう。そして、聴こえてくるのは〈イシヤキイモ〜〉という衝撃的なフレーズ――UKのオネスト・ジョンズから登場したハワイのシンガー・ソングライターによる3作目は、時空を超越した強烈なトリップ感と懐かしさが同時に押し寄せる夢幻フォークの傑作だ。プロデュースはラムチョップのマーク・ネヴァーズ。
bounce (C)田中幹也
タワーレコード(vol.311(2009年06月25日発行号)掲載)
キャンディ・ステイトンの新作リリースのときもそうだったが、【オネスト・ジョンズ】の良心にはいつも手を合わせたくなる。同レーベルから2作目を発表したこの女性シンガー・ソングライター。ここには思わず手を合わせたくなるような美しい音楽が詰まっている。カレン・ダルトンを彷彿させるスモーキーな声で〈おいしい焼芋〉と歌う《Yakiimo》、少女のような呟きで友人のヴィクトリア・ウィリアムスを語る《Victoria Ann》をはじめ、胸焦がされる曲の連続にホクホクしっぱなし。メロディの良さも特筆ものだ。
intoxicate (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.80(2009年06月20日発行号)掲載)