石原裕次郎のドラムは実は白木秀雄が、敵役・笈田敏夫のそれは猪俣猛(当時若干21歳)が叩いている。そのドラム・ソロ(マックス・ローチ的アプローチが聞ける)10数テイクを始め、松本英彦(テナー・サックス:劇中にも出演)や河辺公一(トロンボーン)らが参加したスイング・ジャズ~モダン・ジャズ演奏の数々を収録。日活所蔵6ミリ・サウンドトラック・テープを元に、映画には使用されなかったプレスコ・ナンバーまで全53テイクを収め、公開から53年目にして初めてCD化。日本ジャズ史の新たな発見です。なお、裕次郎の主題歌は収録されていません。
タワーレコード
とても50年代の日本映画のサントラとは信じられない洗練と音の色気。
『嵐を呼ぶ男』(1957)
サウンドトラック
音楽 大森盛太郎
監督 井上梅次
主演 石原裕次郎、青山恭二、小夜福子
裕次郎が若きドラマーを演じる、あの有名な主題歌も記憶に深い、50年代日活青春映画の、これは"スコア・サントラ"。50年代アイドル映画の劇伴用に録音されたセッション・テープが現存していたという事実もすばらしいし、それをCD化するという発想も拍手もの。というのも、ジャズ・ドラマーの物語だけに、劇伴も、見事なシネ・ジャズであり、演奏メンツも、おそらくものすごいメンツ、ということなのである。保存状態も良好だったこともあり、ゴキゲンな本格派ジャズの演奏として楽しめる録音多数。劇伴らしさを通り越して、かなり、いわゆる"どジャズ"です。しかし、これがまたかっこよすぎる。おそらく伝説的なミュージシャンたちの演奏で、これはひょっとして、と楽しむもよし、ただただすばらしい演奏にうっとりするもよし・・・かなり真面目に"シネ・ジャズ"として満喫できる一枚です。 (C)馬場敏裕
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