フリー・フォークの流れのなかで、自宅録音した前作『Horn Of Plenty』が注目を浴びたグリズリー・ベア。クマ繋がりのパンダ・ベアと同じくNYを拠点に活動する、エドワード・ドロステのソロ・ユニットだ。新作はなんと、ワープからのリリース。蜂蜜の代わりに咳止めシロップを舐めなめ、ベッドルームで吹き込んだような前作も良かったが、本作では楽曲のスケールや彩りに一段と深みが増している。それもそのはず、新たに3人のメンバーが加入。サウンドの骨格を強化しつつも、セッションから生まれる躍動感が素晴らしい。アルバム・タイトルは、ドロステの母親が持っている〈黄色い家〉でレコーディングしたことにちなんだものらしいが、まるでトリップしたザ・バンドが、ピンクの家と間違えて、一晩中演奏しているような飴色のサイケデリアが渦巻いている。朦朧としながらも甘美なアシッド交響曲。
bounce (C)村尾 泰郎