アイスランドを代表するバンド、シガー・ロスのフロントマン、ヨンシーによる世にも美しいサイド・プロジェクト。脳裏に焼き付くようなファルセット、そして現実離れした存在感を放つバンド、シガー・ロスのヴォーカリストとして知られるヨンシー・バーギッソンは、ここ2、3年の間、パートナーであるアレックス・ソマーズと共に『Riceboy Sleeps』の名で美術展や展示会などのアート活動を行ってきた。そんな彼らが今度は音楽でコラボレーション。ヨンシーとアレックスが提供する繊細で脳裏に焼き付くインストゥルメンタルは、締切日ぎりぎりまでマスタリングどころか完成すらしていなかったが、それでもAntony Hegarty、Arcade Fire、Sufjan Stevensやその他の実力者らが名を連ねるこのアルバムにおいて、多くの音楽関係者が高く評価する完成度になっている。そんな彼らのフル・アルバム『ライスボーイ・スリープス』がようやく完成。彼らは一言も発することはないが、68分の生きたサウンドを聴いていると、心の中に感情が込み上げてくる。穏やかに描き出される抽象的風景は、啓発的であり、かつ人生に肯定的。アルバム全体が一つの世界であり、瞑想的な夢幻状態を醸し出すとともに、開放的でうっとりさせるような別空間へと導いてくれる。シガー・ロス直結の全編シネマトリックで幻想的、そしてほどよくダークなサウンドです!
タワーレコード
This debut album from Jon Thor "Jonsi" Birgisson, the voice of Icelandic post-rockers Sigur Ros, was written and recorded with his partner Alex Somers, with whom he has also produced an acclaimed body of visual art. With strings performed by long-term Sigur Ros collaborators Amiina and a contribution by the Kopavogsdaetur choir, the album is a lush, blissful ambient experience, sounding much like Sigur Ros but shorn of the rock instrumentation, huge build-ups and epic crescendos.|
Rovi
シガー・ロスのヨンシー・バーギッソンと、彼の公私に渡るパートナー=アレックス・ソマーズがユニットを結成してファースト・アルバムを完成させた。ストリングスとピアノを軸とした静謐かつ荘重なサウンドは、乱暴に言えば〈歌のないシガー・ロス〉であるが、電子音の一つ一つまでもが生命の営みの如く有機的に響いていて、そのあまりにもピュアな輝きはバンド本隊にも勝るほど。ただただ美しい。
bounce (C)田中幹也
タワーレコード(vol.312(2009年07月25日発行号)掲載)