夢幻の境界を漂う、神秘なる音の領域…。シガー・ロスのヴォーカリストとして知られるヨンシー・バーギッソンと、公私共にパートナーであるアレックス・ソマーズがコラボ、アートとアンビエント・ミュージックを追求するプロジェクトのアルバム。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
脳裏に焼き付くようなファルセット、そして現実離れした存在感を放つバンド、シガー・ロスのヴォーカリストとして知られるヨンシー・バーギッソンは、ここ2、3年の間、パートナーであるアレックス・ソマーズと共に『Riceboy Sleeps』の名で美術展や展示会などのアート活動を行ってきた。そんな彼らが今度は音楽でコラボレーション。ヨンシーとアレックスが提供する繊細で脳裏に焼き付くインストゥルメンタルは、締切日ぎりぎりまでマスタリングどころか完成すらしていなかったが、それでもAntony Hegarty、Arcade Fire、Sufjan Stevensやその他の実力者らが名を連ねるこのアルバムにおいて、多くの音楽関係者が高く評価する完成度になっている。そんな彼らのフル・アルバム『ライスボーイ・スリープス』がようやく完成。彼らは一言も発することはないが、68分の生きたサウンドを聴いていると、心の中に感情が込み上げてくる。穏やかに描き出される抽象的風景は、啓発的であり、かつ人生に肯定的。アルバム全体が一つの世界であり、瞑想的な夢幻状態を醸し出すとともに、開放的でうっとりさせるような別空間へと導いてくれる。シガー・ロス直結の全編シネマトリックで幻想的、そしてほどよくダークなサウンドです!
タワーレコード
シガー・ロスのヨンシー・バーギッソンと、彼の公私に渡るパートナー=アレックス・ソマーズがユニットを結成してファースト・アルバムを完成させた。ストリングスとピアノを軸とした静謐かつ荘重なサウンドは、乱暴に言えば〈歌のないシガー・ロス〉であるが、電子音の一つ一つまでもが生命の営みの如く有機的に響いていて、そのあまりにもピュアな輝きはバンド本隊にも勝るほど。ただただ美しい。
bounce (C)田中幹也
タワーレコード(vol.312(2009年07月25日発行号)掲載)