〈ダウンテンポなタンゴ/ボレロ〉を聴かせた前2作やDJスプーキーらによる一連のリミックス12インチによって、USでの人気も集めているブエノスアイレス出身のフェデリーコ・アウベレによる3作目は、エレクトロニック色をやや抑えめにアコギと歌がメインの内容。静謐さと哀愁を漂わせたギターをバックに、トラディショナルなタンゴやボレロ、そしてビートルズなどをベースにした美メロを口にする、その内省的で囁くような歌声が艶かしくてグッとくる。セピア色に彩られたサウンドとそこはかとなく漂うアンニュイなムードは、良質なヌーヴェル・シャンソン作品にも近い感触が。羽鳥美保、ブラジリアン・ガールズのサビーナ・シウバといったNYダウンタウンの才媛とのデュエットも収録。
bounce (C)ダイサク・ジョビン
タワーレコード(vol.311(2009年06月25日発行号)掲載)
シーヴェリー・コーポレーションによって見出されたアルゼンチン・エレクトロ・ポップ界の若き異才による3作目。フォルクローレ、ボレロ、タンゴといった南米的郷愁をダブやヒップホップでエレクトロにコーティングした持ち前の音世界に、今回は随所で哀愁のスパニッシュ・ギターが色っぽく大活躍。クールなダウン・ビートと気怠いヴォーカルが描き出す幻想性と浮遊感は、あたかも現代版ロード・ムーヴィーのサントラといった趣きで、儚くも美しい。ナタリア・クラヴィエールやチボ・マットの羽鳥美保がゲスト参加。
intoxicate (C)田中幹也
タワーレコード(vol.80(2009年06月20日発行号)掲載)