テクノ/ロック・シーンを巻き込んで熱い視線を注がれているスコットランド出身の2人、Michael SandisonとMarcus EoinによるユニットBoards Of Canadaの2002年発表セカンド・アルバム。 Autechre同様のヒップホップに影響を受けたビーツとアトモスフェリックな美しいメロディ・ライン。今作でもそのオリジナリティ溢れるサウンドは健在。他のエレクトロニカ勢とは全く異なる個性でふたたび世界中の人々を魅了した傑作盤。
タワーレコード(2009/04/08)
98年にひっそり世に出された前作『Music Has Right To Children』の波紋が静かに衝撃へと変化し、それが渇望にまで達した4年の歳月を経て登場する、掛け値なしに〈待望〉の言葉が似合うボーズ・オブ・カナダ(以下BOC)の新作。ジャケットの色が前作の薄いブルーから燃えるような赤に変わり、多少の無国籍エスニック・テイストが加わった。が、全体はすでにニュー・エレクトロニカの定番フォーマットと化した感のあるアタックの強いヒップホップ直系のビートに、美しい音色のシンセで奏でられる儚く夢見心地なメロディーをもつ上モノといった、いわゆるBOC節に寸分の変化はない。というか初めから完璧だったBOCに、変化する必要は全くないのだ。前作にも色濃く漂っていた〈対象のないノスタルジー〉の濃度とメロディーの甘美さ、緩慢な〈死〉を彷彿とさせる静謐さはさりげなく増加、さらに中毒性を増した静かなる猛毒のごとき佇まい。
bounce (C)一ノ木裕之
タワーレコード(2002年03月号掲載 (P89))