バルセロナのアンダーグラウンド・シーンから世界にその名を轟かせた『Techari』以来3年ぶり、ライヴ盤を挿んで久々に届いた新作はUSオルタナ風（?）のジャケとは裏腹に、これまでになくポップで洗練された出来映えとなった。ルーツであるフラメンコやジプシー音楽にヒップホップなどを混ぜたスタイルは変わらないものの、ホーンや鍵盤からはジャジー・フレイヴァーが溢れ、カホンやスクラッチはティンバランド風のポリリズムを刻み……と雑多なマテリアルが実に緻密かつ自然に溶け込んでいる。特にキューバン・サルサ界の大物、ロス・バン・バンを迎えたガロティン調のナンバーが良い出来。うわべだけをすくって〈ミクスチャー〉を知った気になっている輩は、本作を聴いて出直すべし!
bounce (C)岡本大輔

いまや刺激的なサウンドの発信地として世界の音楽ファンが一目置いているスペインの都市バルセロナ。そのことをいちばん最初に認識させてくれたのが、このオホス・デ・ブルッホだった。スペインのお家芸であるフラメンコをベースに、サルサ、インド、アラブ、ヒップホップなどの要素を散りばめた鮮烈なサウンドのインパクトは、この新作でもまったく薄まっていない。ピアニストのチャノ・ドミンゲスや、キューバのパーカッション奏者オラシオ・エルナンデス、そしてロス・バン・バンといった超豪華ゲストを統率する貫禄にも恐れ入る。
intoxicate (C)篠原裕治