〈元アット・ザ・ドライヴ・イン〉という肩書を付けるのはこれが最後になるだろう。セドリック・ビクスラー・サヴァラとオマーA・ロドリゲス・ロペスによるマーズ・ヴォルタの3作目がついに完成した。以前に比べるとサルサ色がやや後退し、代わりにセドリックのストーリーテリング風のヴォーカルと叙情的なコーラス、オマーによるオーケストレーションや多様なサウンド・エフェクトが前面に出てきている。アートワークが前2作を手掛けたヒプノシスのストーム・トーガソンからファイン・アーティストのジェフ・ジョーダンに変わったことが象徴しているように、彼らは今作で新たなステージへと進んだ。彼らが呑み込んできたさまざまなジャンルのタームを用いてその音楽性を語ることはもはや意味をなさないだろう。21世紀のプログレ?　いや、この作品はマーズ・ヴォルタそのものであり、それ以外の何物でもない。
bounce (C)粟野 竜二