Spangle call Lilli lineのギタリスト、藤枝と笹原による新プロジェクト“点と線”。雨音と車道。足音と閉まる戸。ストリングスとピアノ。点/音が連なり、線/旋律となる。爪弾かれた弦が落とした小さな水滴は波を起こし、紋様を描きながら、やがて静かに水をたたえる。日常の中で、突如としてこの世界に「美」を見出し心かき乱されるような、そんな瞬間。すべて生演奏でレコーディングされたという、ワールズ・エンド・ガールフレンド、高木正勝、シネマティック・オーケストラらに通じるその流麗なサウンド・スケープに、私たちは息を飲む。何気ない時間、些細な出来事、普通の日々を、映画のワンシーンへとそっと浮上させる、珠玉のサウンド・トラック。
タワーレコード(2009/04/08)
Spangle call Lilli lineのギタリスト、藤枝憲と笹原清明による新プロジェクトの初作。すべて生演奏で録音されたというギターやピアノ、ストリングスの旋律を、環境音と共に控えめな電子音でシネマティックな音像へと溶け込ませる――そんなオーガニック志向のポスト・ロック~エレクトロニカとも言えるサウンドには、日常を上品に刺激する映像喚起力がある。単音(点)とメロディー(線)を思わせるユニット名も素敵。
bounce (C)土田 真弓
タワーレコード(2009年03月号掲載 (P86))