奇跡の天才シンガーソングライター、麓健一のファースト・アルバム。これまでの活動を総括する十六もの楽曲からなる渾身の作品。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
衝撃の天才シンガーソングライターによる十六の鎮魂歌。
にせんねんもんだいのレーベル「美人レコード」からリリースされたCD-R作品が全て大きな反響と熱狂的ファンを生む麓健一(ふもと・けんいち)待望のファースト・アルバム。心を切りつけるかのような鋭利な言葉と、美しくも儚いメロディ、アコースティック・ギターと自身のヴォーカルをメインに、ときにディストーションギター、ピアノ、キーボード、リズムマシーン、サンプリング、フィールドレコーディングといった身近で必要最小限のサウンドを駆使し紡がれる幻想的な音世界はそれでも力強く、失われた記憶を呼び覚ますかのように、あまりに芳醇で生命力に溢れた輝きを放つ。今回初音源化されるメインとなる楽曲に加え、CD-R 作品からの楽曲、また一部リアレンジ/再録された楽曲も含めこれまでの活動を総括する十六もの楽曲からなる渾身の作品。
タワーレコード(2009/04/08)
「いつでも不意を打たれる。何度聴いても。どこでも。この切実さはなんだ? どうして、打つ? やさしいのにどうして、胸を打つ? 鞭打つ? いいや、音はやさしいだけではない。ひずみ。どうしてこんなにひずませるんだ? どうしてこのひずみなんだ?
本当のことを正直に言うならば、聴いて、二十代のおれが泣いた。どこかにいる(はずの)二十代のおれが。このアルバムのなかにはゆったりとなにかが走っている。そのなにかの名前を、旋律という。あるいは歌という。それで、どこにいる? どこにいるの? どこにいるんだ? 打つ、『美化』。」
古川日出男
タワーレコード(2009/04/08)
自主制作のCD-Rが大きな反響と熱狂的なファンを生んだシンガーソングライターのファースト・フル・アルバム。アコースティック・ギター、ピアノ、リズムマシーンをそのつど極めてシンプルに駆使したアトモスフェリックなサウンドは、アシッドフォークのようにも聴こえる。全てはいずれ消えさるか終わる。それをありのままに見続けて綴る詩を漂うように声に放つ。研ぎ澄まされた言葉が背筋をひりひりさせる。不安と絶望とその彼岸。あまりに人間的なくせに、一瞬温度が喪失したかのような錯覚を覚える透明で美しい世界。
intoxicate (C)水上渉
タワーレコード(vol.77(2008年12月20日発行号)掲載)
この無垢さたるや! にせんねんもんだいのレーベルから発表した音源が話題を呼んだ〈エリオット・スミスの意思を引き継いた才能〉と言われるシンガー・ソングライターの初作。アシッド・フォークとニューウェイヴの折衷を米良美一が試みるとこんな感じ?――インパクトありすぎな歌声に、ついそんな妄想をしてしまうほど、とにかく彼の歌は強い。世俗と離れた場所に救済を求め続けるような、憂いを帯びた詞も美しい魅力。
bounce (C)ヤング係長
タワーレコード(2008年12月号掲載 (P87))