旨い酒。久々の含みに甦る件の甘さ、辛さ、切なさ、妖しさ、艶やかさ、懐かしさ。ことさらに風雨に打たれたその後のストーリーテリングに恐れ入り、そして染み入る次第。なんでも横浜・黄金町に戻ってきた私立探偵、濱マイクのために書き下ろされたという“くちばしにチェリー”では、終始鋭角のビートをチェイス。行き行きては、新宿ゴールデン街でも純色の黄金伝説が見つけられそうな幸運も。お馴染みジャンゴから継いだマイナー・スウィングとステディなロカビリーが乱舞する“BIG NOISE FROM WINNETKA～黒アリのマーチングバンド”は、まもなくショウタイムでとっておきの出し物となっているはず。すばやく研ぎ澄ました“PAPPAYA”しかりで、中納良恵／奇妙な果実のロマンス、森雅樹／ギター弾きの恋がいよいよ冴え渡っているのだ。そして、クラクションのカルトーラは足長のサルヴァドールに、風車の人生は次の流浪へ。
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