『J-POP』に続く、2008年2作目のフル・アルバムが完成!磨き上げられたトラックに比類なきリリックが重なり、まさに"電気グルーヴ"としかジャンル分けできないテクノ・サウンドが炸裂しています!!NHK・大人のための3分教養講座『さんぷんまる』のテーマ曲「さんぷんまるのうた」他を収録。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
世界最高峰のトラックに、比類無きリリックが乗った、もはやジャンルとしての電気グルーヴとしか表現しようのないアルバムです。
タワーレコード(2009/04/08)
春に『J-POP』をドビャッと出しておいて、卓球は〈WIRE〉がめでたく10周年を迎えたり、UKAWANIMATION!において待望(?)のショーケン・トレイン連結を実現させたり。赤塚不二夫のトリビュート盤に電気グルーヴ×スチャダラパーの登場もあったり。そんななかでの今年2枚目となるアルバム『YELLOW』……電気にとってはかつてなく待たれていないタイミングで発射された〈ゴメン、出ちゃった〉的なアルバムと言っていいだろう。それはつまり、もっともプレッシャーの軽い状況から生まれた、もっともドラマなき作品ということでもある。
で、意味付けを嫌って意味ありげなタイトルを付けてくるあたりはアレだが、それでも『ORANGE』との関係性を妄想したり、岡村ちゃんのデビュー作を連想したりするのはしょうがないでしょ。まあ、実際にはハードフロアのアシッド名盤『TB Resuscitation』(93年)の真っ黄色なジャケを思い出したうえで、“Acid House All Night Long”や“湘南アシッド”を聴けば少しは良い気分になれると思うけど……そんな連想ゲームはともかく、大掛かりなアトラクションもドラマもない展開は必然的に音そのものへのピュアな集中を誘う。このストレートな格好良さは、いやらしい企ても技巧も抑えようもなくどうしても出ちゃった汁ならではのピュアな気持ち良さから生まれたものなんでしょう。若い!
bounce (C)出嶌 孝次
タワーレコード(2008年11月号掲載 (P60))
復活シングル“少年ヤング”と“モノノケダンス”のタイアップ展開に彩られた今年4月の『J-POP』は8年ぶりのアルバムだったし、その前の『VOXX』(2000年)は石野卓球&ピエール瀧の2人体制へ移行するという激動下で生まれたアルバムだった。このように前2作、いやその前から、電気グルーヴのアルバムは尋常ならざる状況での制作が多かったように思う。しかし『J-POP』発表時にすでに年内投下が公言されていた今回の新作『YELLOW』――当初予定された『J-POP』制作時の音源ではなく、結局新たに作られたものだが――は、一見余韻のようにも思える制作過程&タイミングでのリリースとなった。インパクト大かつ、3秒で制作されたようなジャケ、そして〈光る目〉仕様を除けば実は中年男2人のスナップでしかないアーティスト写真から漂ってくるのは、心地良い脱力感。“どんだけtheジャイアント”や“Mole~モグラ獣人の告白”におけるナンセンスの極北的な言語感覚は、かの〈オールナイトニッポン〉やライヴ中のMCに通じる、当の2人だけがおもしろがってる様と地続きだし、“Acid House All Night Long”“Area Arena”はかつての電気なら12インチのみでリリースしてそうな世界水準業務用フロア・チューンだったりするわけで……。そのように方向性はバラバラ、ただクォリティーとおもしろさは最高な楽曲がただ並んでいるだけの今作は、まさに産地直送、〈出来たから出した!〉的な、いわば電気版ナチュラル・アルバムであり、ここでの電気はキャリア史上もっとも〈素〉の状態なのではなかろうか。イヤ、この2人の素だから、どんだけオモロいんだって話ですけどね。
bounce (C)石田 靖博
タワーレコード(2008年11月号掲載 (P60))