2005年アメリカン・アイドルに出場したマリオ・バスケスは、最後の12人まで勝ち残り圧倒的な支持を得る。にもかかわらず、自己の表現方法にいまひとつ納得がいかないということで、なんと自ら途中棄権の道を選んだ。そんな彼はNYブロンクス出身のニューヨリカン。デビュー・シングル「Gallery」(名曲!)ではNE-YO が曲を提供し、アルバムのプロデュースにはLESTER MENDEZ(SHAKIRA)、LUNY TUNES、SOULSHOCK & KARLIN(USHER)、STEVE MORALES(RICKY MARTIN, ENRIQUE IGLESIAS)、THE UNDERDOGSなど、豪華な顔ぶれを起用。そして完成したデビュー・アルバムは、ラテン・ポップ、R&B、ヒップ・ホップ、ソウルなど、あらゆる要素が盛り込まれた注目の内容!
タワーレコード(2009/04/08)
日本では〈誰?〉状態だろうけど……人気TV番組「アメリカン・アイドル」のシーズン4(2005年)で、みずからファイナリストの座を辞退して話題となったブロンクス出身のラティーノ歌手である。棄権後すぐにクライヴ・デイヴィスが契約したことで〈青田刈り〉疑惑も浮上したそうだが、確かに彼が逸材であることは、このファースト・アルバムを聴けばすぐにわかる。いま旬のタッグ=ニーヨ作曲+スターゲイト制作の冒頭曲“Gallery”で聴ける情熱的な歌唱は、オーディション歌手にありがちな規定演技っぽさを超えて、甘さと同時に真摯な哀愁味を湛えて迫ってくるのだ。以降も、期待のジョンタ・オースティンやショーン・ギャレットらが美メロを書きまくり、スコット・ストーチやレスター・メンデスがプロデュース……とバックアップ体制の豪華さはもう反則! 秋から冬にかけての耳にしっくり馴染みそうな、情緒溢れる名曲/名唱集だと言えよう。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(2006年11月号掲載 (P83))