マッシヴ・アタック、ポーティス・ヘッドと並ぶブリストル・シーンの中心人物の5年ぶりのアルバム。M.I.A.らを手がける、今イギリスで一番熱いダンスミュージック"フィジェット・ハウス"の重鎮スウィッチがプロデュース。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
Massive Attackの前身バンドであるWild Bunchに参加し、ブリストルのトリップ・ホップ・シーンにおいて、PortisheadやBjork、そしてMassive Attackらと共にその名を広めたTrickyが約5年ぶりに8作目となるニュー・アルバムをリリース。今作は今やUKを代表するレーベルとなった“Domino”(Arctic Monkeys、Franz Ferdinand etc)からのリリースということもあり、UKダンス・ミュージック界の大御所が新境地で新たな側面を切り出した超意欲作!プロデュースを手掛けるのは、今UKで一番熱いダンス・ミュージックのジャンルとされる“フィジェット・ハウス”の重鎮であるSwitch!激ヤバ・トラック満載の大注目盤となっていることに疑う余地ナシでしょう!
タワーレコード(2009/04/08)
『Knowle West Boy』というタイトルにあるノウル・ウェストとは、トリッキーが生まれ育ったブリストルの一地区。スミス&マイティのステージでマイクを握った不良少年は、ワイルド・バンチからマッシヴ・アタックの初期まで準メンバーとして活躍し、ソロ・デビューした90年代半ば以降にはUK音楽界を代表するポップスターとなった。何をやっても許せるとは流石に言いすぎだろうが、グライム的にも解釈できるヒップホップ、パンク、レゲエ、ブルースといった音楽的要素を忘れさせるほどの強烈な個性は相変わらずだ。90年代のトリッキーには後に袂を分かつ女性シンガーのマルティナの存在が欠かせず、憧れのテリー・ホールとも共演したコラボ企画のニアリー・ゴッド、DJマグス&グリースとの共作『Juxtapose』もあったように、フレキシブルなスタンスでの活動が持ち味だった。やはりコラボが一つの鍵となっていた近作『Blowback』『Vulnerable』もそれぞれにイメージを拡張させてくれたが、ここにきてさらに一人の男の個性がグッとクリアに押し出された感触がある。女性シンガーやレゲエ・ヴォーカリストと交わっても、またはバーナード・バトラーやスウィッチの手を借りようとも、時に幻想的でストレンジなムードを醸し出し、時に毒気のある攻撃性を露わにする彼独特の世界観は揺るぎない。自分の生まれ育った土地の名を掲げ、改めて前を向いた新たなトリッキーの世界に浸れる快作だ。
bounce (C)栗原 聰
タワーレコード(2008年08月号掲載 (P78))
本人がどんなに近寄り難いオーラを発していたとしても、ワルな男には惹かれちゃうわよね。ということで、ブリストルの一角にあるゲットーで生まれたトリッキーの、ドミノ移籍作となる5年ぶりのニュー・アルバム『Knowle West Boy』を紹介しましょう。ここには男性/女性問わずワルに魅せられたアーティストが大挙し、彼のダークな世界観を最大限に引き出しているんだから! 冒頭のブルース・ナンバー“Puppy Toy”だってトリッキー主宰のブラウン・パンクに所属するアレックス・ミルズが艶やかなコーラスを添えることで、主役のニヒルな歌いっぷりがより浮き立っているわけだし、ふてぶてしいダンスホール・トラック“Baligaga”だってブロンクス在住のロディガンなるレゲエDJが参加することで生々しさを獲得しているわけで……。ましてや元カノに“Past Mistake”というタイトルのドープなアブストラクト曲を歌わせるなんて、やっぱりワルにしか許されない荒技なんじゃ? それに、ずいぶん前から噂になっていたスウィッチは結局のところミキシング・エンジニアのみに留まっているものの、一方でプロデュースを担当したバーナード・バトラーは大半の曲を共同ライティングしていて、そのバーナードらしい浮遊感たっぷりの極美メロが本作に覆い被さる不穏なムードを盛り上げていることは疑いようのない事実。確かに『Knowle West Boy』はとってもトリッキーらしい一枚に仕上がっているけど、それもこれも彼の魔力に吸い寄せられた良き理解者のサポートあってこそ……とか言ったら本人にドヤされちゃうかしら?
bounce (C)山西 絵美
タワーレコード(2008年08月号掲載 (P78))