1985年～1990年初めの時期は、CDとLP時代の端境期。CDのみ、もしくはLPのみ発売といった作品が多く、結果としてプレス数が少なくジャズ・ファンの間でもまだまだ知れれていない作品が多い。本作もそんな1枚。1986年クラウス・ヴァイスはエディ“ロックジョー”デイヴィスのツアーに参加していたが、エディが病気で倒れ、メル・ルイスの提案から急遽実現したこのクリフォード・ジョーダンとのツアー。当時まだ無名に近い若干23歳のピアニストRoberto Di GioiaとギターのJohn Schroderの参加が絶妙な化学反応を起こしている。ベテランのクラウス・ヴァイス、トーマス・スタベノーヴ、クリフォード・ジョーダンの3人が覚醒したかのような熱い演奏を繰り広げる。渾身一体となって織り成すサウンドはダンディズムに満ち溢れ、とくに「Highest Mountain」や「Eye Witness Blues」は多彩な展開で息をつかせず、渦巻く熱気にゾクゾクします。ファンの期待を裏切らない抜群の安定感！ストレートに届く、エッジの効いた分厚いサウンドにグイグイと引き込まれる、ジャズ本来の高揚感にあふれた会心の1枚。

タワーレコード （2009/04/08）