グローバルな視点から生まれるリリックと、日本語&英語を操る変幻自在なスタイルが若者を中心に支持を得ているMC/プロデューサー、"SHING02"。本作では30名以上のアーティストとセッションした音の断片を、現代ヒップホップとダブ的手法でアレンジ。過去最高のスケールで色彩豊かなアルバムとなっています! (C)RS
JMD(2010/06/14)
インディペンデント・ヒップホップ最高峰。前作『400』のアウトロで宣言されている通り、全曲ラブ・ソングで構成される日本語アルバム。ラップは、前作のような社会的・政治的メッセージではなく、自然への畏敬の念や愛をテーマとした文学的なリリックが中心。楽曲は、総勢25名に及ぶ国内外のミュージシャンの生演奏をスタジオ録音しながら、それらを音源(ソース)としてサンプリングしヒップホップやダブ的手法でビートを構築した。その手法は現代的で先進的でありつつ、70年代ロックのように普遍的な良さを兼ね備えたサウンドに仕上がっている。Shing02とプロデューサー、Vector Omega(ベクトル・オメガ)の、まるで武満徹の如きプロデュース能力は、もはや和製ヒップホップというフィールドを超えている。
タワーレコード
30余名にも及ぶ内外のミュージシャンを各界から招いて集めた音源をサンプリングに用いるなど、膨大な作業を経て編み上げられた実に約6年ぶりのラップ・アルバムは、その年月に足る一作。かつてなくたおやかな情緒と言語表現、ふくよかな音楽性、そして持ち前の寓話的なストーリーテリングなどがアルバムとして息づく様は他を大きく引き離す。もはや〈ヒップホップ〉や〈日本語ラップ〉という注釈も要らん傑作です。
bounce (C)一ノ木 裕之
タワーレコード(2008年07月号掲載 (P109))