韓国産メロディック・パンク・バンドGUMX(ガムエックス)4年ぶりとなるサード・アルバム。ポップで耳障りのいいメロディーがぎっしり詰まった好盤。メロディック好きならば一発でノックアウト間違いなし。
タワーレコード(2009/04/08)
【GUMXインタビュー】
「すべての物や事って、時間が経ってしばらくしてから、本当の価値が見えてくると思うんだ。あとGUMX自体、活動が長くなっているので(1996年結成)、今言ったことを僕達にも当てはめているところがあるんだよ」(リー・ウォン:vo、g)
『GREEN FREAKZILLA』(04年)以来となるGUMXの3rdアルバム『OLD』。3年半以上という長きブランクを感じさせないくらいに、初期衝動を弾けさせながら目一杯楽しさを露にするパンク・サウンドは、バンドがそれまでやってきたことの肯定であると同時にそれを踏まえた上での成長を我々に見せてくれた。懐古趣味とは無縁のところに成り立つ“OLD”の意味を実践するが如く、音楽は表現のシンボルにとどまらず、バンド、彼ら自身、そしてその感情を共有する我々の生きた歴史の一部と言っても過言ではない。
「兵役の間は辛い経験が大半だったんだけど、今思い返すと楽しいと思えることもあった。兵役の経験があったからこそ、今回のアルバムを作ることができたわけだし」(クニャン:b、vo)
前2作と『OLD』との間で決定的に異なっているのは、テーマの設定だ。前2作はその時点での最高の曲をとにかく詰め込んでいったのに対し、『OLD』は「(2年間の)兵役での経験を反映させよう」というテーマが設けられているのだが、“喪失と回復”にまつわるストーリーが見えていた分、久々に集まった時の音楽勘の擦り合わせ以外はほぼ道なりで制作が進んでいったという。
「今回のアルバムでは曲作りはもちろんプロデュースも3人だけで行ったので、3人にしか出せない音で溢れていると言ってもいいと思うよ。あと今回は予めひとつのテーマは決まっていたけれど、その中で様々な色を見せていくように努力をしたんだ」(リー) 表現したいポイントを明確にしている分、ネガティヴな表現も随所に窺えるのだが、走る時はひたすら前のめりに、思いを込める時はひたすら丁寧に紡がれるサウンドは、そんな陰の部分を燃焼し尽くす。だから作品そのものの余韻は常に温かい。そんなGUMXの今夏の最大イベントは、韓国最大のフェス『PENTAPORT ROCK FESTIVAL 2008』への出演。そこで最後にFUJI ROCK FESTIVALにも参加経験があるGUMX語る現代の韓国フェス事情を。
「(PETANPORT〜の雰囲気は)FUJI ROCK FESTIVALとSUMMER SONICを合わせた感じかな。でも日本に比べるとまだフェスという文化が根づき出したぐらいなので、日本のフェスから学びながらシーンを活性化させようと努力しているところなんだ」(リー)
発売・販売元 提供資料(2009/04/08)
ジャパン・ツアーや〈フジロック〉出演を通じて日本でもっとも著名なコリアン・パンク・バンドとなった矢先、徴兵制により活動休止を余儀なくされたガムXが、ついに4年ぶりとなる新作で完全復活! お得意のファストなアゲアゲ・メロディック・チューンあり、ラグワゴンもビックリの胸キュン・ポップありと、オリジナル度もヴァラエティー度も激増している。もう〈韓国の○○〉なんて枕詞も必要ない実力ニダ!!
bounce (C)若狭谷 力
タワーレコード(2008年06月号掲載 (P88))