“ファンキー・ピアニスト”として注目され大好評だった『ビック・ブーガルー』以来1年半ぶりとなる2008年作。ヒップホップ世代なりにリスペクトする60年代のソウルやR&B、ラテンのスタイルをターンテーブルではなくジャズ・ピアノで実現。ジャズ・ルーツへの敬愛を生楽器のみで“再生(=プレイバック)”できる希有なピアノ・トリオ。クラブ感覚でジャズの伝統をストレートに解釈した2000年代に入ってからの新感覚“生ジャズ・ピアノ・トリオ”といえばロバート・グラスパー、バッド・プラス、ジェイソン・モランそしてブラッド・メルドー…、実はフランスを中心にヨーロッパでそのムーヴメントを一身に期待を担っているのがこのエリック・レニーニだ。聴くもの誰もが心も身体も踊らせ楽しめる。明るく軽快に聴かせることは、実はもっとも高度な演奏技術が必要とされることなのである。瞬間にフレーズを閃きかせ自然にブラック・ミュージック色を深く感じさせること、細かいグルーヴの仕掛けなどこのトリオでしか成し得ないテクニックと言える。
タワーレコード(2009/04/08)
ヒップホップ世代が生み出すピアノ・ジャズとして人気を博した前作から1年半ぶりの新作が到着した。ソウルやラテンを基調としたファンキーなプレイはもちろんのこと、ビル・エヴァンスを彷彿とさせる美しい旋律と流麗な指捌きも披露するなど、センスの良さが随所に散りばめられている。これからジャズを聴く人にもオススメしたい、伝統とモダニズムを兼ね備えた新世代のジャズ・スタンダードがここに完成!
bounce (C)藤井 大樹
タワーレコード(2008年05月号掲載 (P88))