約17年ぶりの復活!ピアニスト、バーンスタインの至芸を堪能できる絶妙のカップリング!
指揮者という括りではとても収まりきらない無限の芸術性を兼ね備えたバーンスタイン。そんなバーンスタインのピアニストとしての一面をうかがい知る事が出来る格好のディスクです。決して演奏される機会が多いとは言えないモーツァルトの25番にベートーヴェンの1番をフィルアップ。モーツァルトでは優美華麗に、そしてベートーヴェンは端整なピアニズムが印象的です。オーケストラも完全にバーンスタインの楽器と化し、ピアノに寄り添っています。国内盤はおよそ17年ぶりとなる発売で、バーンスタインの‘隠れた’名盤と呼べる1枚でしょう。
タワーレコード(2009/04/08)
バーンスタインの多才ぶりが語られる時、「ピアニスト」を落とす事も出来ない。事実、彼はハーヴァード大学でヘレン・コーツとハインリッヒ・ゲブハルトにピアノを学んでいるし、1939年にそこを卒業した後、2年間をフィラデルフィアのカーティス音楽院で過ごした時にもイサベラ・ヴェンゲローヴァの許でピアノの勉強を続けている。ただ指揮者や作曲家として名声があがれば、ピアニストとして活躍する余地は少なかったであろう。
しかしバーンスタインはピアノへの意欲を片時も失っていない。演奏会でもレコード録音でも機会がある度に鍵盤に向かっている。ニューヨーク・フィルの指揮者在任中に続けた演奏、更に講演を交えた青少年コンサートで楽曲分析などに彼のピアノは大活躍を示した。
~中略~
アルバムでもラヴェルを始め、ガーシュインの《ラプソディ・イン・ブルー》、モーツァルトの変ロ長調協奏曲K.450、ベートーヴェンの協奏曲第1番ハ長調、ショスタコーヴィチの協奏曲第2番、シューマンのピアノ五重奏曲(ジュリアード弦楽四重奏団と共演)など、かなりの数にのぼっている。
演奏会、或いはアルバムを通じて聴いたバーンスタインのピアノ演奏に大きな特徴がある。まず彼の解釈は指揮者としての解釈と全て同じ姿勢が感じられる。それは彼の全存在に根差した強健な精神と、豊かな人間性を反映した大らかな感情にもとづいている。彼のタッチは一つ一つはっきりした表情を持っており、そのために、個々の動機、或いはフレーズがきわめて雄弁で強い説得力をもたらす。これはいわゆるコンサート・ピアニストの訓練され、磨きあげられたタッチからは決して感得できないもので、音楽の再創造に当って、音楽家として、更に人間としての存在が如何に大きなものであるかを知らせてくれるのである。
以前にもブルーノ・ワルターのピアノ演奏で同じ経験をしたが、個性こそ異なるがワルターと言い、バーンスタインと言い、音楽家として、また人間としての偉大さでは共通する。従って彼らの演奏は表面だけ美しい、或いは力強い演奏が感覚だけにしか訴えかけないのに対し、聴き手の精神と感情に直接訴えかける。バーンスタインがハ長調協奏曲で示した威厳と暖かい感情に溢れた演奏は、彼の雄大な精神と純粋な人間性の必然的な帰結である。【解説書(CSCR-8160)~高橋 昭氏】
タワーレコード(2009/04/08)