時代を変えた衝撃のデビューから約1年。各国音楽賞を総なめ、数え切れない程の年間ランキング1位獲得、UK史上1位のデビュー作セールス記録、日本でも驚異的な旋風を巻き起こしたモンスター・バンド、Arctic Monkeysの2ndアルバム。プロデューサーにはKlaxonsやMystery Jetsらを過去に手掛け、自身もSimian Mobile Discoとして活躍するJames Fordと、前作に続きMike Crosseyを迎え、ロンドンとリバプールでレコーディング。サウンド面では前作を引き継ぎながらも、今までにない野心的かつ挑戦的な試みを取り入れ、自らが切り開いてきた新時代をこの北極猿たちはさらに突っ走る!バンド、ファン、そしてUKロック史にとっての重要作。
タワーレコード(2009/04/08)
まさかあれほど愛したアークティック・モンキーズのデビュー作を、あっさり超えるほど好きになれるセカンド・アルバムを作るとは。そんな奇跡を、この4人の場合はあきらかな〈変化への意志〉と共に生み出した。ありえない。デビュー当時のインタビューで、「流行とは離れた場所で常に新しい音を作りたい」と話してくれたヴォーカルのアレックス・ターナー。その言葉どおり、このアルバムはどれをとっても現在のUK&USで鳴っているサウンドとは違う。ダイナミズム上等!なドラムは多彩なリズムを展開し、ギターは時にヘヴィーに、時に空間を活かし、華やかさを加える。カウンター・メロディーとして鳴るベースも通常のギター・ロックにはありえない存在感を持つし、そもそも曲の構造そのものが〈ポップ・ミュージック〉の常識を気持ち良く無視。そのすべてをアレックスによる言葉数の多いメロディーラインが先導する、その総合力こそが奇跡的。「生まれ変わるんじゃなくて、前に進んで進化する能力を持っていること。進化するのを恐れないということ。そしてポップ・ミュージックなんだけど、深みのあるおもしろいポップ・ミュージックを作りたいということ、かな」――このアルバムを完成させて気付いたという〈自分たちらしさ〉について問うと、アレックスはそう答えた。いまも変わらず冷静に、自分を見つめる彼。この回答こそがその内容のすべてを伝えている一枚だ。
bounce (C)妹沢 奈美
タワーレコード(2007年05月号掲載 (P72))
UK/USを中心に爆発的な盛り上がりを見せていたニュー・レイヴ・リヴァイヴァルが尻すぼみ状態となり、終焉へと向かっていた2005年下半期。そんなシーンの重苦しい空気をたった一枚のEPで吹き飛ばし、全世界をあっと言わせたのがアークティック・モンキーズだ。インターネット上での口コミから火が着いて、翌年にリリースしたデビュー・アルバムをあっさりチャート1位に放り込み、オアシス以降のUKで最大のバンドとなった……と、ここまで夢物語のような快進撃を続けてきた彼らが、1年半というインターヴァルを経て待望のニュー・アルバムを完成させた。血管沸騰必至のビートと瞬発力抜群のアークティック節は今作でも健在だが、同時にハード・ロック的な要素が加わるなど革命的な変化も遂げている(デビュー前に彼らはダットサンズのコピーをしていたり、ギターのジェイミー・クックがシステム・オブ・ア・ダウンの大ファンとのことなので、この変化には大いに頷けるのだが……)。ひとつ戸惑う点は、前作での“Fake Tales Of San Francisco”や“I Bet You Look Good On The Dancefloor”のようなキラー・トラックがないところ。ありったけのフックを前面に押し出した前作とは違い、今作はあきらかに聴き手にさまざまな発見をさせようとしている攻撃的かつ実験的な作品で、なるほど、聴くたびに新たな表情を見せて彼らが現在やりたかったことが少しずつ浮き彫りになっていく。つまり、ほっぺにニキビの残る少年たちが作ったとは到底思えない挑戦的な傑作なのだ。〈夢物語〉はこうして伝説への階段を登りはじめた!
bounce (C)白神 篤史
タワーレコード(2007年05月号掲載 (P72))