18世紀から19世紀にかけて、70ものオペラや600曲を数える宗教音楽などを残しているイタリアの作曲家。ロッシーニやベートーヴェンなど多くの音楽から影響を受けましたが、ここに収録された2曲でもその作風が把握できるでしょう。「ベートーヴェンの死に寄せるカンタータ」は決して重苦しいレクイエム風ではなく、偉大な先輩を敬うような雰囲気の音楽です。

バイエルンのインゴルシュタット近郊に生まれたジモン・マイールは作曲家人生の大半を、19世紀の文化、経済の一大中心で繁栄していたベルガモで過ごしました。イタリアにおけるウィーン古典派の普及に重要な役割を果たしたマイールは、自身の作品スタイルの中では、ウィーンで学んだことに、劇的で旋律美に富んだイタリア風を結びつけて、ロッシーニ出現以前のイタリアオペラ界を主導しました。1825年に書かれたマイールの「アルモニア（調和）」は皇帝のベルガモ巡幸のために書かれたものです。1827年のカンタータ「ベートーヴェンの死によせて」には、「戦争交響曲」、「田園」、「荘厳ミサ」および、マイールが1826年にベルガモで演奏したオラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」の引用が見られます。

タワーレコード （2009/04/08）