マーク・オバート＝ソーン復刻。しっかりと存在感があるサウンドで聴くコルトーのショパンは、一部は英HMVのSPをソースに復刻。またSPでは発売されなかった音源もいくつかあり、このピアニストの優雅さと華麗さ、自在なタッチを聴くには最適の一枚になりました。

死後もコルトーは20世紀最大の音楽家の一人として評価されています。このナクソス・コルトーSP録音シリーズの第5巻は、SP録音時代にコルトーが録音したショパンを特集したもので、三つの希少録音が含まれています。「喜び」と「幻想ポロネーズ」の二曲は、SP盤としては未発売だったもので、「ピアノソナタ第2番」の1933年録音版は、CD初復刻となるものです。7月6日に14テイクだけで完成したこの「ソナタ」演奏は、信じられないほど覇気に満ちている演奏です。とりわけ終楽章は強烈です。「華麗なる大ポロネーズ」の魅了される演奏は、コルトーが、ショパンが用いた装飾的な音形を完全に理解していたことを如実に示すものです。有名な「英雄ポロネーズ」は、スタインウェイの音が十全に捉えられているので、威厳に満ちた大時代的な壮大さと壮麗さが際立っています。

タワーレコード （2009/04/08）