1934年に作曲されたチェロ・ソナタは、まるでラフマニノフの作品かと思うような叙情美にあふれている曲。1968年に書かれたヴァイオリン・ソナタ（初演はオイストラフとリヒテル）など室内楽の名曲を、ナクソスではおなじみのロシア人音楽家たちが見事に演奏しています。

ショスタコーヴィチの室内楽といえば15曲の弦楽四重奏曲の存在が圧倒的ですが、ピアノ三重奏曲、ピアノ五重奏曲やピアノ伴奏付きのソナタ集も書き残しました。チェロ、ヴァイオリン、ヴィオラのためのソナタはそれぞれ、もっとも重要な器楽作品とみなされています。1934年作のチェロ・ソナタは、ラルゴ楽章はチャイコフスキーやラフマニノフの直接的な系譜を受け継いでいるロマンスであるものの、ショスタコーヴィチが一番初めに書いた諧謔的なスケルツォの一つも含むものです。1968年にオイストラフのために書かれたヴァイオリン・ソナタは、ショスタコーヴィチの作品中でももっとも難解なものです。全く対照的に、1980年代のイギリスのテレビドラマ「レイリー、スパイのエース」で印象深い用いられ方をしていた映画「馬あぶ」のための音楽中のロマンスはロリポップそのものです。

タワーレコード （2009/04/08）