天才少女としてワーナーからデビューしたヴァイオリニストがナクソス・デビュー。ジョン・アダムズの協奏曲はクレーメルが初演・録音したネオ・ロマン系の難曲。映画サントラではジョシュア・ベルがソロを弾いたコリリアーノ作品、「カルメン幻想曲」が知られるワックスマンの編曲作品など、クロエの腕前と音楽性をアピールするには最適のマスターピース集だと言えるでしょう。

このCDに収録された作品群は、アメリカのヴァイオリン音楽を広く集めたものです。ジョン・コリリアーノによる「シャコンヌ」は、1998年の映画「レッド・ヴァイオリン」のための音楽に基づく変奏曲です。他方、エネスコの「ルーマニア狂詩曲第1番」は19世紀に書かれた民族古来のメロディーによる幻想曲ですが、ここで演奏されているのは、ハリウッドの映画音楽作曲家フランツ・ワクスマンによる編曲版です。ワクスマン自身の「トルイスタンとイゾルデ幻想曲」は、高度な技巧を要する通奏低音ピアノ・パートを持った作品で、元来は1946年の映画「ユモレスク」の感動的なクライマックスのために作られました。最後の曲目は、ジョン・アダムズの書いた、広く人気を博している「ヴァイオリン協奏曲」です。名人技巧を要する傑作で、ソリストはほとんど全曲を弾き続けなければなりません。

タワーレコード （2009/04/08）

アメリカ生まれの個性派ヴァイオリン音楽

20世紀アメリカで生まれた、個性派のヴァイオリンと管弦楽のための作品を、新鋭クロエの熱演でお送りする1枚です。コリリアーノの「シャコンヌ」は、映画音楽と共通する素材による作品で、叙情的かつ情熱的な曲想が貫かれています。また、オーケストレーションの見事さにも注目されます。アダムズの協奏曲は、終始ヴァイオリンが歌い、動き続ける難曲ですが、力技というよりも、浮遊感覚あふれる不思議な美しさを感じさせる作品です。ワックスマンの「トリスタンとイゾルデ幻想曲」は、ピアノとヴァイオリンの二重協奏曲といった趣向で、彼の代名詞ともいえる「カルメン幻想曲」に勝るとも劣らない、特上の演奏効果を持っています。
ナクソス・ジャパン

発売・販売元 提供資料 （2019/10/18）