いわずと知れたジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫妻の一粒種、ショーン・レノンが8年ぶりにオリジナル・アルバムをリリース。良質なポップ・ソングながらも旺盛な実験精神を感じさせる内容で、もはや単なる“二世”では無い“一アーティスト”としての確固たる地位を築いている彼ですが、本作でそのアーティスト性と作品のクオリティは更に大きく成長。レコーディングは本田ゆか(Cibo Matto)、Harper(Paul Simonの息子)、セッション・ドラマーのMatt Chamberlain、Jon Brionらが参加。また今回は全曲分のビデオ・クリップが収録されたDVD付きの2枚組仕様!ビデオ・クリップにはLindsay Lohan、Bijou Phillips、Asia Argento、Carrie Fisher、Devon Aoki、Johdana Brewsterなどが参加した超豪華内容となっております!!
タワーレコード(2009/04/08)
ジョン・レノンの音楽に、それもアルバム単位で向き合うのにはどうも覚悟がいるな、と思ってるクチの僕が、ジョンの『Imagine』や『Mind Games』よりも先に買ったのが、ショーン・レノンのファースト・アルバム『Into the Sun』。このときは〈ジョンの一粒種〉というよりも、〈グランド・ロイヤル〉〈メデスキー・マーティン&ウッド〉〈ソフト・ロック〉といった当時の旬なキーワードをきっかけに触手を伸ばし、愛聴した。あれから8年。この長いブランクの間、母親のヨーコ・オノをはじめマニー・マーク、サーストン・ムーア、BOREDOMES、ベン・リーなどといった面々と野心的なコラボレートを重ねてきたショーンだけに、新作『Friendly Fire』はかなり奇天烈な作品になるかと思いきや、ことのほか〈ジョンの魂〉が随所に宿った作品となっている。なかにはショーンじゃなければ許されないような〈ジョンっぽい〉曲も。前作以上に粒揃いのアルバムであり、全10曲で40分弱という良い塩梅のヴォリューム。思うに、ショーンはこの8年間、父親の残した音楽との向き合い方をずっと思案していたのかも知れない。不慮の悲劇がなければいまも歌い続けていたであろうジョン。そんな父親の魂を継がなければいけない宿命をみずから背負い、ショーンはこのうえなく素直で優しいメロディーたちをここに並べたのではないだろうか。覚悟して……いや、覚悟せず聴くべき傑作である。
bounce (C)久保田 泰平
タワーレコード(2006年10月号掲載 (P82))
やりたいことに片っ端から手を付けてみた、という印象だった98年のデビュー・アルバム『Into The Sun』はグランド・ロイヤルらしい箱庭ポップ感覚が楽しかったけれど、セルフ・プロデュースで作り上げた今回の新作ではぐっと焦点が絞り込まれ、かつスケールも拡大。前作でいうところの“Queue”を発展させたような内容はさらなるビートルズ的世界観への傾倒と受け取ることもできるが、全編をジョン・ブライオン(オルガン、ドラムなどで数曲に参加)とのコラボレーションで知られるトム・ビラーがミックスした音像は、映画「ハッカビーズ」のサウンドトラックなど、むしろ近年のブライオン関連作品に近いのかもしれない。そんなわけで、例えばブライオンのプロデュース曲が2曲しかなかったフィオナ・アップル『Extraordinary Machine』のディレクションに軽いフラストレーションを覚えていた、なんて向きの需要にも応えることができそう(オープニング・トラック“Dead Meat”のイントロのピアノ一発で了解してもらえるはず)なアルバムではあるが、あの無垢と狂気の狭間を漂うサウンドスケープはショーン・レノンのデリケートなヴォーカルにも抜群の相性を示している。“I'm Only Sleeping”を彷彿とさせる“Wait For Me”、サビのメロディーラインが“Girl”に酷似した“Tomorrow”など、背後に父親の姿をちらつかせる瞬間も。 T・レックス“Would I Be The One”のファンタジックなリメイクもある。
bounce (C)高橋 芳朗
タワーレコード(2006年10月号掲載 (P82))