樺太アイヌ固有の楽器＝トンコリの奏者にして、アイヌの歌＝〈ウポポ〉伝承にも尽力、アイヌ音楽文化の継承と世界（含む日本）への紹介者として八面六臂の大活躍を続けるOKI。その新作は、2004年の『DUB AINU』に続いてのダブ・トライアル作品。『DUB AINU』では安東ウメ子と自身の既発曲をダブ・リミックスしたのに対して、本作はジャンルレスに大活躍する凄腕ドラマーの沼澤尚、セネガル人シンガーのファニア、安東ウメ子亡き後のアイヌ最注目の歌い手である床絵美らと共に繰り広げた、アイヌ音楽～ルーツ・レゲエ～アフリカ音楽が渾然一体となった革新的な録り下ろしセッションを、OKI自身がダブ・ミックスした内容に。反復を基本としたミニマルなサウンドなど、共通点の多いアイヌ～レゲエ～アフリカ音楽が大きなスケール感で融合し、ダブという手法でそれらのレベル・ミュージックとしての立ち位置を強調している。
bounce (C)鈴木 智彦