レディオヘッドのヴォーカリスト、トム・ヨークの初ソロ・アルバム。レディオヘッドとは違う新しい音世界、ポップス感溢れる楽曲が楽しめる1枚。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
【TOWER RECORDS 2006 年間 TOP 40 SELLERS】洋楽総合チャート9位
【TOWER RECORDS 2006 年間 TOP 40 SELLERS】POP/ROCKチャート7位
レディオヘッドのトム・ヨークが初のソロ・アルバムをリリース!!!
トム・ヨーク本人が突如、自身のブログで初のソロ・アルバムの完成を発表!!『The Erasers』と名付けられた本アルバム、プロデュース/アレンジにはレディオヘッドの旧作でもお馴染みナイジェル・ゴッドリッジを起用。ヴォーカルはトム・ヨーク本人が全て担当し、サウンドは全体的にビートが効いたポップなエレクトロニカ寄りの、レディオヘッドとはまた一味違った世界観を打ち出しています。ちなみにレディオヘッドとしてのニュー・アルバムも来年には予定されているとのことなので、バンドの関係が云々ということでは無いのでご安心を。とにもかくにも、ファンにとって今回のソロ作は、本当にスペシャルなニュースです!!
タワーレコード(2009/04/08)
肩の力がこれほど抜けているトム・ヨークの表現は、とても貴重だ。だからこそこのソロ・プロジェクトの音からは、レディオヘッドの音にはついぞなかった要素がいくつも発見できる。たとえば、レディオヘッドのすべての作品を思い出してみると、彼らの〈表現〉を象徴していたのは例外なく、さまざまな種類の〈緊張感〉だった。それがバンド・サウンドであろうとエレクトロニックなエフェクトを多分に使用したものであろうと、だ。ゆえにトム・ヨークの歌声も、時に境界線を彷徨う危うさを醸し出したり、また時にはこれ以上引っ張ったら切れてしまうゴムのような、ビリビリと感電しそうなテンションを生んでいた。だが、ここでのトム・ヨークの歌声にはまったくエフェクトがかからないどころか、アルバム全体の雰囲気を牽引する柔らかな優しさが宿っている。素朴さとも言い換えたいほどに、素のままの彼の息吹が伝わってくる。サウンド面がかなり無機質というか、クリック・テクノを発展させたループ感と少々の生音を混ぜながら構成する手法だからこそ、もし〈歌声〉の雰囲気が違えばアルバム全体から表出するものは正反対だったはず。だからこそ、このアルバムの肝は〈歌声〉だと思えてならない。ちなみに私は、最初数回聴いた時は〈レディオヘッドの延長線上か!?〉と感じたが、聴き込むほどに人肌感が強まり、徐々にトム・ヨークの個性が見えてきた気が。なので、繰り返し聴き込むことをお勧めしたい。
bounce (C)妹沢 奈美
タワーレコード(2006年07月号掲載 (P80))
トム・ヨークは確かにスゴイ人だと思う。でも、トムを神みたいに崇め、彼のやることなすことすべてに賛同してしまう人たちは個人的にどうかと思っていたし、その閉ざされた世界を前にすると思わず身じろぎしてしまう。言ってしまえば、トムや彼のファンに対して暗くて辛気臭いイメージを持ってしまっていたのだ。だからこそ、BBEからリリースされたレディオヘッドのトリビュート盤『Exit Music : Songs With Radio Heads』に参加したアーティストの幅広い顔ぶれ(オシュランデやプラティナム・パイド・パイパーズのワジードなど)には驚かされたし、このファースト・ソロ・アルバム『The Eraser』がXLからリリースされると知った時も意外な気がした。今作はハーバートの最新作『Scale』やゼロ7の『When It Falls』にも似た、〈歌〉を重要視しながらもビートを前面に押し出したアルバムに仕上がっている。トムがすべての曲を書き、全楽器を担当したと聞くと内省的な音世界を想像しがちだが、レディオヘッドの近作とは比べ物にならないほどポップで開放的。ヴォーカルひとつをとってもリヴァーブなどの細工を控えているせいか、全体的にシンプルな印象を受け、だからこそそのほかの音がストレートに耳に飛び込んでくる。真新しいことにチャレンジしているふうでもないが、そのぶん閉ざされた息苦しさは皆無。そんなわけで、レディオヘッドが醸し出してきた〈ムード〉を敬遠してきた人にこそ気軽に手に取ってもらいたい一枚であり、なるほど、XLからのリリースにも意義ナシである。
bounce (C)山西 絵美
タワーレコード(2006年07月号掲載 (P80))