テキサス出身のガルサ3兄弟からなるラテン・トリオ・バンド、ロス・ロンリー・ボーイズのアルバム。ピュアでハッピーなロックンロールが楽しめる1枚。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
〈ロス・ロンリー・ボーイズが2作目をリリースする〉というニュースを耳にしたとき、歓喜の声を上げつつも、前作『Los Lonely Boys』のあまりの大ヒットが彼らの持ち味を押し潰して、妙に味気のない作品になっているんじゃないか?なんて、一抹の不安を抱いたのも事実。しかしそれはまったくもって取り越し苦労! 今作もテックス・メックス(=テキサス流のメキシコ)文化に根差した確固たる〈彼らの音〉がある。テハーノ音楽の影響を受けた、同世代のさまざまな音楽スタイルのグループ――クンビア・キングスやデソル、マーズ・ヴォルタなど――と比肩する独特のアプローチ、それはコンフント(アコーディオンを主体としたテックス・メックスの音楽)的なメロディーやハーモニーに、オールディーズやロックンロール、ブルースの要素を掛け合わせるという行き方だ。コンフント流のブルース・ロック・ナンバー“Texican Style”、跳ね気味のリズムが心地良い“Orale”、またキューバのソンにも似たアコースティックで哀愁たっぷりなナンバー“I Never Met A Woman”(この曲、途中から突如サンタナばりのラテン・ギター・ジャムに変容しちゃうところなんかホント最高!)など、ロス・ロボス以来の器のデカさを誇る、ゼロ年代最高の〈直球テハーノ・ロック・バンド〉としての肩書きを裏切らない佳曲ばかりだ。高い演奏技術に裏打ちされた強力なグルーヴ、スパングリッシュ(スペイン語訛りの英語)でまくし立てる男臭いリリックなど、とにかくカッコイイの一言! またもやUSロックに活路を切り拓く傑作と言いたいね!
bounce (C)本橋 卓
タワーレコード(2006年08月号掲載 (P80))
前作『Los Lonely Boys』の大ヒットにより、テキサスのローカル・バンドから全米を代表するバンドとなった〈グレイト・テキシカン・ガルサ3兄弟〉ことロス・ロンリー・ボーイズが、3年ぶりとなる新作を完成させた! ローリング・ストーンズの前座を務めたり、はたまた昨年のグラミーで〈ベスト・ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス・デュオ&グループ部門〉を受賞(ノミネートは4部門)したりと、さらに名を上げた彼らの勢いを完全パッケージした超イケイケの極上ロック・アルバムとなる今作は、引き続きジョン・ポーターを共同プロデューサーに迎えた、捨て曲なしの一発KO作だっ! イントロからニヤリとさせられる1曲目の“My Way”はコテコテのラテン・ロックだし、広大な大地を連想させる“Diamonds”はサザン・ロック、“Oye Mamacita”なんてスペイン語を巻き舌で炸裂させるロックンロールだったりする。そしてそこにユーモアをプラスし、聴いたことのない新たなラテン・ロック……いや、いまのUSシーンが求める独自性のあるロック・サウンドを提示することに見事成功! あえてわかりやすく言うならば、初期のもっとも尖っていた頃のサンタナに、ミッチェル・フルームと組んで以降のロス・ロボス的なモダン・ラテンとサザン・ロックを混ぜ込んだようなサウンド……わかりやすっ(笑)! 要するに、〈古臭いけど新しい〉という部分が彼らのオリジナリティーとなっているのだ。すでにアメリカのメインストリームへと乗り込んでいるこのサウンド、要注意!
bounce (C)山口 コージー
タワーレコード(2006年08月号掲載 (P80))