『GOOD-BYE青春』前夜、戻りたい戻れない青春のライヴ名盤
初期フォーク3作に続くウェストコーストロック寄りの3作『Bye Bye』『時代は僕らに雨を降らしてる』『HEAVY GAUGE』で完成したバンド・サウンドは名手村上律のスティール・ギターを擁していることもあり、ジャクソン・ブラウンあたりを思わせ、アコーステックとエレクトリックのバランス、フォークの繊細さとダイナミックなロックンロールのバランスが絶妙、かつ長渕の歌唱も、ハスキーボイスで磨きがかかってきたシャウトも、後年よりフェイク少な目の伸びやかさが実に清々しく、この時期を特別に愛するファンが多いのも頷けます!
このライヴの一ケ月後に放送開始となるテレビドラマ『家族ゲーム』の役柄に通じる"気さくなあんちゃん"を伺わせるMCも傑作で「嫁に逃げられてはや三か月...(当時離婚直後であった)」という自虐的ユーモアで慣習に打ち解けつつごく自然に弾き語りで『顔』(♪まわりの人が 僕の事を おもしろがっている)に入る間合いは絶品。続くコンサートスタッフ賛歌『ローディー』前のMCではリスペクトを込めつつもユーモアあふれる語り口で2万人を魅了する。また前述の通りの個人的背景もあいまってか傷心系ラヴソング『君は雨の日に』『Don't Cry My Love』『愛してるのに』でシャウトが雨のスタジアムに鳴り響く様が実に胸を打ちベストヴァージョンをいえる出来。ラストを飾る『乾杯』も同様で楽曲のメロディをストレートに歌い上げる屈指の名ヴァージョン。
タワーレコード(2024/05/22)
1978~96年にわたる東芝EMI在籍時代のオリジナル・アルバムを再発する"長渕剛 オリジナル・カタログ リマスタリング再発"シリーズ第2期発売分(全9タイトル)。1983年発表のライヴ・アルバム。1983年7月25日、西武球場で行われたライヴの模様を収録。 (C)RS
JMD(2010/06/14)