『メズマライズ』の続編となる5thアルバム(前作と今作、二枚で一組!)。スラッシュ・メタルの破壊力を秘めたサウンドとハードコア・パンクの反逆性を露にしたメロディーに、アメリカの中の異邦人ならではのクールでシニカルな批評精神を貫き通すリリック。全ての面において突出し続けるバンドの活動集大成的な大傑作!
タワーレコード(2009/04/08)
Rolling Stone (No. 988, p.117) - 3.5 out of 5 stars - "...Hell immediately runneth over on Malakian's scoured-staccato guitars and Dolmayan's furious hammering...."
Spin (p.102) - "[The first album's] tracks, all around four minutes long, ricochet through a clutch of ideas, compressing what might otherwise be prog-rock suites into jump-cut barrages. That strategy certainly keeps the songs moving..." -- Grade: B
Spin (p.62) - Ranked #20 in Spin's "40 Best Albums Of 2005" - "America's most compelling metal band hones a mash-up of Cali-punk absurdism, political outrage, and jump-cut headbanging."
Entertainment Weekly (No. 851, p.100) - "...[T]hey're flaunting a heretofore underexplored sensitive side, offsetting their trademark stampeding riffology with flashes of delicate lyricism...." - Grade: B+
Uncut (p.109) - 3 stars out of 5 - "System succeed through their skill at wielding complex, progressive heaviness in a pop context."
Rovi(2009/04/08)
今から半年前にリリースされた『Mezmerize』と本作を続けて聴くと、両者が対照的で補足的な関係にあるのではなく、2回に分けて発表した1枚の大作であることがわかる。構成材料は共通しているし、前作のイントロに使われた“Soldier Side”を本作のラストにフル尺で収めて、最終的には出発点に回帰。また脳裏を満たすイメージも変わらない。戦争、経済的不均衡、浮薄なセレブ・カルチャー――弱者/搾取される側から発信される2005年の世界の実況中継だ。ただ、全体のトーンはより攻撃的かつ不穏でダイレクトに行動を促し、時折登場するナンセンスな遊びが逆に切迫感を際立たせる。ポリティカルな見地から言えば、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなき後、群を抜いてアグレッシヴな姿勢を維持しているわけだが、セールスも然り。600万枚というビッグ・セールスを記録した2001年作『Toxicity』に続いて『Mezmerize』も全米チャート初登場1位を獲得。アルメニア移民たちから成る異端児が最大のロック・バンドのひとつとして君臨している事実が、米国のバランス感や健全性や本来の多様性を物語り、彼らが描く世界がいかに腐っていても本作の存在自体に希望が見い出せるんじゃなかろうか。眩惑(メズマライズ)し、催眠(ヒプノタイズ)にかける――それは単に聴き手を圧倒するという意味でも成立するし、表題曲が示唆するように権力者やメディアによる人心操作を糾弾しているのでもあり、感覚を研ぎ澄まして真実を見極めることの重要性を叩き込む。ぜひ2枚とおして体験いただきたい。
bounce (C)新谷 洋子
タワーレコード(2005年12月号掲載 (P70))
全米No.1に輝いた前作『Mezmerize』と対を成す双子アルバムがついにヴェールを脱ぐ! アートワークやコンセプトなど、さまざまな点で前作とシンクロしている今作だが、予備知識なしに単独作として聴いてもブチのめされること間違いナシの凄まじい完成度を誇るアルバムとなっている。高速スラッシュ・リフと畳み掛けるようなビートに圧倒される冒頭の“Attack”、お得意の中近東風メロディーが耳に残る“Dreaming”、早口でまくしたてるようなコーラスが印象的な“U-Fig”など、問答無用のキラー・チューンを連射。〈バナナバナナ〉と呪文のように唱えた後に軽やかなファンク/フュージョン風展開になだれ込む“Vinicity Of Obscenity”は、前作の〈エヴバデエヴバデ(“Violent Pornography”)〉に匹敵するインパクトだ。ドラマティックな展開の“Lonely Day”から“Soldier Side”でアルバムは幕を下ろすが、この最後の曲は『Mezmerize』の冒頭へと繋がっていく。アルメニア人コミュニティーという出自、反戦/反権力的姿勢、独特のアート志向など、このバンドを語るうえでのキーワードはいくつかあるが、彼らの最大の武器はパンクとメタルとフュージョンとオペラと民族音楽がゴッタ煮になった、唯一無二の変態サウンドだ。あきらかにポップ・ミュージックの主流から外れたこの異形ロックが、今回もまた全世界を席巻することになるかと思うと、笑いが止まらない。
bounce (C)粟野 竜二
タワーレコード(2005年12月号掲載 (P70))