ブラック・コミュニティー初のヒーロー〈スウィートバック〉は、いかに生を受け、誰と闘い、どこに走り去ったのか……!? アフリカン・アメリカン映画の起源として、スパイク・リーをはじめとする後続世代に絶大な影響を与えるとともに、無名時代のアース・ウィンド&ファイアを起用し〈映像×音楽〉の新しい地平を切り開いた、メルヴィン・ヴァン・ピープルズ監督による71年作「スウィート・スウィートバック」。この「バッドアス!」はメルヴィンの息子マリオが、「スウィート・スウィートバック」の真実を描く物語だ。注目すべきは、30数年の時を経て、マリオが父親であるメルヴィンのパーフェクトな分身として伝説の監督、伝説のヒーローの二役を演じるという世にも稀なる試み。「精神分析そのもの」とマリオみずからが語るとおり、父と子の魂が時空を超えて交錯するさまには、通常の伝記ものやドキュメンタリーでは到底味わえない生々しさと詩情が溢れる。加えて刺激的なのは、メルヴィンいわく「過激さばかり注目され、歪曲され抹消されてしまった」事実へのアプローチ。「スウィート・スウィートバック」が、〈人種的な閉塞〉からではなく〈多種多様な人間の関係〉からこそ誕生し得たという事実など、固定観念を覆す発見が、この映画に新たな生命感をもたらしていく。
かつては暗殺の危機すらあった父子の奇跡的かつイマジネイティヴなグルーヴを最大限に体感すべく、同時公開の71年式と最新式、二つのスウィートバック連続試乗をぜひにご推薦!!
bounce (C)山口 哲一
タワーレコード(2005年10月号掲載 (P117))
息子が描く、オヤジのすごさ!!!!
『バッド・アス』(2004)
サウンドトラック
スコア タイラー・ベイツ
監督・主演 マリオ・ヴァン・ピーブルス
息子マリオが描く、「オヤジ、メルヴィンの、映画史を
覆した大傑作「スウィート・スウィート・バック」のメイキング実録
ドラマ」!!!
音楽は、『追撃者』ではロイ・バッドにリスペクトしていた
タイラー・ベイツ。今回は、ブラックスプロテイションをもちろん
意識して、ラロ・シフリンっぽいグルーヴ感バリバリのサウンドを
作り、それにプラスキング・フロイド、ウォー、ピート・ロック、
ザップ・ママ、ロイ・エアーズらの提供してくれたナンバーも
散りばめて、という感じ。黒いイブシ銀!!かっこいい!!
(C)馬場敏裕
タワーレコード(2005/07/23)
名作「Sweet Sweetback's Baadasssss Song」に取り組むメルヴィン・ヴァン・ピーブルズの姿を、息子マリオの監督/主演で描いた映画のサントラ。70'sブラックスプロイテーションの世界観といまのネオ・ソウル/ヒップホップにリンクさせた好コンピで、ロイ・エアーズ、ジーン・グレイ、エリック・ロバーソン、ピート・ロック、アンティバラス、ミリアム・マケバら新旧ドス黒曲を収録。スーパーフライなスコアにも煽られる。
bounce (C)黒豹
タワーレコード(2004年08月号掲載 (P73))