リバティーンズを活動停止に追いやった張本人にして超問題児、ピーター・ドハーティによるプロジェクト:ベイビーシャンブルズのデビュー・アルバム!アルバムのプロデュースは、元クラッシュであり、またリバティーンズのプロデューサーとしてもお馴染みのミック・ジョーンズと、セックス・ピストルズ、ロキシー・ミュージック、ガンズ・アンド・ローゼズを手がけた伝説のプロデューサー、ビル・プライスが担当。これは21世紀最初のパンク・アルバムなるか!?ご自身の耳でご判断を!ちなみに冒頭を飾る「La Belle Et La Bete」はケイト・モスがゲスト・ヴォーカルで参加してます。
タワーレコード(2009/04/08)
楽曲はどれも美しいがどこかブッ壊れているし、ささくれ立った歌声は神経をムキ出しにされるようでジクジクと痛む。気分が良くなる種類の音楽ではないかもしれない。むしろ二日酔いのような後味を残すだろう。しかし本来ロックンロールとはそういうもので、誰にでも受け入れられるものではないし、踏みにじられて然るべきもの。だからピート・ドハーティは誰に対してでもなく〈ファック〉と吐き捨てる。その言葉はあまりにもリアルに響き、そのやり場のないやさぐれた悲壮感が深くわれわれの心をスクラッチする。苦笑まじりの〈どうしようもねぇなぁ〉はいつだって最高の褒め言葉だが、彼らほどその賛辞が最適なバンドはいないだろう。リバティーンズをデストロイし、その瓦礫の中からヨチヨチと歩き出したピート率いるベイビー・シャンブルズによる奇跡のフル・アルバム。これは中指を上向きにおっ立てた反逆の物語だ。
bounce (C)冨田 明宏
タワーレコード(2005年12月号掲載 (P72))