メジャー・ファースト・アルバムの登場である。パンキッシュにガツンガツンかましまくる姿勢（クラッシュ好きなバンドの性質による）に変化なし、やさぐれギザギザジャズの妙味もそのままに、実に納得の仕上がりとなった。さていったい何を納得したのかと言えば、さまざまな妄想を抱え込んで、〈俺たち果たしてどこまで膨らめるか?〉と賭ける彼らのいまの姿を確認できたことだ。どんな場所に出ようがその膨張のスピードを決して緩めず、破裂寸前のスリルを音盤に定着させんとする意志がはっきりと見えてくるのである。ゆえにリアルでホット。〈自分たちの速度感に忠実であれ〉の合言葉とともに蹴り出された音の張りが生々しい。今日性という厄介で邪魔な柵も蹴散らし、図々しくもブコウスキーの夢の中にまで踏み込んでいく心意気。痛快だ。ぷは～っと吐いた息が酒臭い。もっとガブガブ喰らいやがれ。そしてもっと吐け。
bounce (C)桑原 シロー