『ミッドナイト・ヴァルチャーズ』以来、3年ぶりのオリジナル・アルバム。アコースティック・ベースなものにファンクの要素とダイナミズムが加わった楽曲を収録。「ザ・ゴールデン・エイジ」「ペイパー・タイガー」など全13曲。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
プロデューサーに「ミューテーションズ」以来2度目となるナイジェル・ゴドリッチを迎え、前作「ミッドナイト・ヴァルチャーズ」で極められた編集感覚や雑食性とは対極をなす本作。サウンド的には、アメリカン・ルーツ・ミュージックを掘り下げ、アコースティックを基調としたオーガニックな指向性ながら、ポストロック~音響的な配慮の行き届いた仕上がり。一聴してまず感じるのは「ミューテーションズ」との類似性ですが、本作の方がより緻密で、1音1音の存在感と緊張感がスゴすぎです!おちゃめでかわいらしいイメージは減退したけれど、まぎれもなく”ベック”がここに!オススメ→(1)(3)(5)(10) (C)DaKaRa
タワーレコード(2002/10/10)
前作「ミッドナイト・ヴァルチャーズ」より約3年新作はフォーク、ブルース、アコースティック基調な曲で構成されているが、それだけでは語り尽くせない、細かい一音までしっかりと作りこまれている所は、さすがの一言につきます!!前作がファンクやPOPの要素を取り入れつつ、彼なりのエンターテイナー的側面を出したアルバムなら本作は自身のルーツのカントリー、フォーク、ブルースなどに立ち返った内容!!「ミューテイションズ」をさらに押しすすめた作品になってます。(1)(2)(3)あたりまではこれまでのBeckの良さがストレートに伝わるんじゃないでしょうか。また(4)(8)はこれまでの彼とは一味違うストリングスの美しさに昇天!!緻密に作られた一枚です。 (C)1500マイル
タワーレコード(2002/10/10)
ベック・ハンセン三十路に入って初のアルバムは、とてつもなく〈パーソナル〉な作品となった。これまであえて〈私的すぎる感情〉とは距離を置いてきたベックが、周囲の励ましもあって赴くままに感情を音楽にぶつけてみたのだという。なごみ系ベックの決定版『Mutations』と同じく、プロデューサーはナイジェル・ゴッドリッチ。つまりガチャゴチャした音のお遊びは控えめで、あくまでもしっとりと歌にこだわったフォーキー路線。けれども、『Mutations』との決定的な違いは、一体どうしちまったの?というほど悲しみが溢れていること。痛々しいまでにヒリヒリと傷心モード。それでいて、人生とはこんなもんよ、という悟りきったような穏やかな視線も存在して、ただ喚き叫んでいるのとは訳が違う。傷口が癒されるのを待ちながら、快方に向かっている。そういう意味でも大人のアルバムなのだなぁ。
bounce (C)村上ひさし
タワーレコード(2002年10月号掲載 (P89))