ペドロ・アルモドバル監督映画「バッド・エデュケーション」(2005年4月公開/出演:ガエル・ガルシア・ハビエル、フェレ・マルチネス、ハビエル・カマラ他)のサウンドトラック。同監督作品映画「私の秘密の花」移行全ての楽曲を担当している、アルベルト・イグレシアスが音楽/指揮を担当。 (C)RS
JMD(2010/08/12)
心の闇を鋭く捉えた作品で知られる巨匠ペドロ・アルモドヴァルが初めて男性を主人公にした半自伝的作品。新進映画監督エンリケ(フェレ・マルチネス)の前に、寄宿舎で過ごした少年期の初恋の人、イグナシオを名乗る謎の青年俳優(ガエル・ガルシア・ベルナル)が小説を手に突然現れる。その青年が持参した映画化を熱望する自伝小説とは2人の寄宿舎での忌まわしい過去を思い出させるものだった――。現在と過去、劇中映画が複雑に絡み合い、虚と実を交錯させながら展開するパラレル・ワールド。美青年、美少年好きにはたまらない〈やおい〉ネタ的な設定だが、もちろん表面的な美しさだけをなぞったものではない。目的を果たすためなら簡単に身体を許してしまうような謎の青年をめぐり、男同士の生々しいベッド・シーンが続き、物語はドロドロした駆け引きのなかに埋没していく。しかし作品自体が品位を失わずにクォリティーを保っているのは、根底に汚れのない愛=エンリケとイグナシオの間の永遠に結ばれることのない想いが存在しているからだろう。
一途な恋が招く先にあるのは痛みを伴う悲劇で、その果てには人間の愚かさとともに心に秘められた愛情が鮮やかに浮かび上がる。この作品を観て、アルモドヴァルは片思いの美しさを描かせたら天下一品の監督だと確信した。それにしても、妖艶なドラッグ・クイーンから、関わった人々を翻弄する野心家の青年までを演じるガエル・ガルシア・ベルナルの魔性は凄い。必見!
bounce (C)長屋 美保
タワーレコード(2005年04月号掲載 (P107))
『トーク・トゥ・ハー』『オール・アバウト・マイ・マザー』で、
世界的巨匠の地位を確立したスペインの異色監督
ペドロ・アルモドヴァルの2004年作!!
『バッド・エデュケーション』(2004)
サウンドトラック
音楽 アルベルト・イグレシアス
監督 ペドロ・アルモドヴァル
主演 フェレ・マルチネス、ガエル・ガルシア・ベルナル
超人気のラテン系男優ガエル・ガルシア・ベルナル共演
という点でも注目。少年期に修道院の寄宿
学校で育てられ、そこで神父に受けた虐待の記憶をもつ
青年ふたりの再会。監督自身の投影ともいわれる、若手
映画監督(青年のうちのひとり)を主人公としたミステリー・
タッチのこの作品。音楽は、もちろん盟友アルベルト・イグレシアス。
サスペンス・タッチのオーケストラ、ムードたっぷりのラウンジ・
ジャズ、お得意の、ダークに美しいストリングス、・・・そして
24曲目に、観客に強烈に印象付ける、「ムーン・リバー」の
スペイン語バージョンをギター伴奏で歌う、少年の歌声も
収録。アルモドヴァル作品は、いつも、音楽も感動的である。
(C)馬場敏裕
タワーレコード(2004/08/24)
今年のカンヌ映画祭でオープニングを飾ったペドロ・アルモドヴァル監督の最新作。音楽は「私の秘密の花」(95年)以降、連続して監督作品を手掛けてきた盟友アルベルト・イグレシアス。修道院で共に過ごした2人の少年による波乱のドラマを、重厚なオーケストラが、ときにサスペンスフルに、優美に彩っていく。2曲収録されたスペインの大女優、サラ・モンティエールのナンバーも印象的。
bounce (C)村尾 泰郎
タワーレコード(2004年08月号掲載 (P112))