挿入歌“月のしずく”が大ヒットした「黄泉がえり」、ロック好きにも支持者の多い「害虫」、塩田明彦作品には毎回、刺激的な〈音〉と〈歌〉がある。そして本作もツワモノ結集の強靱なアクション・スコアから80年代ニューウェイヴのディーヴァ=甲田益也子(母役兼)と独自の道を歩む孤高のシンガー=浜田真理子が唄う合唱曲“銀色の道”、向井秀徳“自問自答”など楽曲からSEまで、監督と大友良英のタッグによるサウンド・デザインが圧巻の仕上がり。本気が伝わる音楽性にホレボレだ。
物語のベースは離ればなれとなった母親と妹を奪還するために旅に出る少年と、その少年に共鳴して道連れとなる少女のロード・ムーヴィー。ドラマの背景が例の教団であることに拒否反応もあろうが、映画はそんなつまらんタブー視こそを完膚なきまでにひっくり返す。ハリウッドや韓流に勝るとも劣らないスケールと、これぞフィクションなスリルとサスペンス。ドメスティックな歴史観を踏まえながら、思想や世代、宗教、国境を越える普遍性。革命や戦争、映画史を知らずとも「気狂いピエロ」「灰とダイアモンド」「ゴジラ」がカッコよくおもしろいように、あるいは「安寿と厨子王」「母を訪ねて三千里」、動物ドキュメンタリーのチーターの親子物語が理屈なく泣けちまうように、ホント132分アッという間。芽生える感情は10年に1本クラスの不朽の名作然、なのに、貫かれる姿勢はあまりにパンクなリアリズム。荒野を駆け抜ける13歳の危うい色気もスレスレすぎ!
bounce (C)山口 哲一
タワーレコード(2005年03月号掲載 (P111))
超問題作!!
浜田真理子、向井秀徳参加!!
『カナリア』サウンドトラック
音楽 大友良英
監督 塩田明彦
今、注目の俊英集結ともいうべき、このメンツで
静かな感動の作品ができあがった、そんな感じの傑作の
サントラ。メジャーでの作品『黄泉がえり』以外の作品
はフルのサントラが未だリリースされなかったこともあり、
塩田監督ファンにも待望の一枚。音楽は、個性的な
邦画をささえる作曲者として支持を得、独特のスタンス
を保つ大友良英が初のコラボレート。打楽器を主に据えた
シンプルなスコア、魂を直接揺さぶるような浜田真理子
の歌声、作品のテーマともいうべき(オリジナルは1966年の
ザ・ピーナッツ?)『銀色の道』の3バージョンなどから、深い
感動を呼び起こす不思議な世界に仕上げている。
(C)馬場敏裕
タワーレコード(2005/02/23)