原田郁子のソロ作を挟んで放つ1年3ヶ月びりのオリジナル・アルバム。ミトのプロデュースによるオリジナル・モノラル音源と、益子樹によるステレオ・ダブミックスCDによる2枚組で、新たなクラムボン像、世界観を打ち出した意欲作。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
2003年11月にリリースされた『IMAGINATION』のツアー、夏の日比谷野外音楽堂、[SUMMER SONIC 04]、[ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2004]、[RISING SUN ROCK FESTIVAL]等のライヴをはじめ、”ハナレグミ”をはじめ、数々のアーティストのライヴ/レコーディングやトリビュート、コンピレーションにも参加。そして原田郁子がソロアルバム『ピアノ』をリリースしツアーも行なうという忙しい2004年を過ごしたクラムボン。 そして2004年秋、恒例の小淵沢合宿に入りプリプロに突入し、じっくり時間をかけて丁寧に創り上げ遂に完成したミトプロデュースの6thアルバム、その名も『てん、』。『id』、『IMAGINATION』の流れを持ちながらも原田郁子、ミト、伊藤大助の3人にしか出せない絶妙なインプロビゼーション的な匂いもかもし出すライトな印象ながら実は相当奥が深い、非常に耳触りと肌触りの良い独特の浮遊感を持つポップアルバム!
タワーレコード(2009/04/08)
なぜかモノラルとステレオの2枚仕様という〈謎〉要素を含んだクラムボンの新作だけど、音を聴けばその理由はおのずと見えてくる……のか? ただ、シンプルな美メロかつファンキーなこれらの楽曲たちは、音響的な意匠を纏わずとも(モノラルとは究極の音響表現だと思うが)十二分に想像力を刺激するし、かえって豊潤な音圧感を手にしたように思える。モノラルが贅肉を削ぎ落とすという意味ではなく、歌と演奏という当たり前の姿が、より無骨に表に出ているのは間違いない。それをアーティストとしての自信ととるか、ポップスという枠のなかでの攻撃性なのかはわからぬが、聴き手の耳と脳を刺激するにはこのうえなき方法論。名手・益子樹によるステレオ・ミックスは、言わずもがなの極上の浮遊感だが、原田郁子の歌声がいつもより一歩前に踏み出ていて、ソウルフルな暴力性を帯びたモノラル音源が、濃密で魅力的だ。
bounce (C)小田 晶房
タワーレコード(2005年03月号掲載 (P64))