※ライヒ・ファン狂喜！
ライヒの代表作「ディファレント・トレインズ」弦楽オーケストラヴァージョン。
48本の弦楽オケが刻む機関車リズム、大迫力！

「ディファレント・トレインズ」は、話し声・サイレンの音などを録音したテープと、弦楽四重奏のために書かれたライヒの代表作。15 年ほど前に発表され一世を風靡した、ミニマルミュージックの代名詞ともいえる作品です。
1940 年頃、まだ幼かったライヒは、離婚した両親を訪ねるたびにしばしば汽車でアメリカ大陸を旅しました。当時は汽車旅を楽しんでいたライヒですが、大人になってふと「もし自分があの当時ヨーロッパにいたなら、ユダヤの血をひく自分は、まったくちがう列車（ディファレント・トレインズ）に揺られてゲットーに連れて行かれたかもしれない」と語っています。機関車のシュシュシュシュというリズムは基本的に弦楽が担当。テープに録音された話し声は途切れ途切れに曲中に現れますが、「シカゴからニューヨークに行くんだ」や、戦時のユダヤ人のことなのでしょうか、「腕に刺青で番号を入れられた」という台詞が入れられています。ミニマルミュージックというとどこか無機的、あるいはストイックなイメージがありますが、ライヒのは不思議と人間味に溢れています。常に色彩を変えながら絶えず繰り返し刻まれる機関車のリズムに身を委ねていると、母の胎内にもどったような錯覚すらおぼえます。
ここに収められているのは、作曲家自身の手による48の弦楽器によるオーケストラ版。指揮は、ブーレーズの演奏などでかなり評価の高かった実力派ロバートソン。弦楽オケのメンバーは、現在準・メルクルが常任指揮者を務める、名門リヨン管。機関車のリズムが大編成の弦で刻まれるさまは、まったくもって圧巻です。こちらも新装の「トリプル・クァルテット」、そして、ゆったりとしたテンポで刻まれるミニマルの「フォー・セクションズ」オケ版久々の新録。このディスク、はっきりいって聴きものです。

タワーレコード （2009/04/08）