10歳でもモーツァルトは天才だった！モーツァルト最初の交響曲を含む初期作品でアーノンクールが聴かせる衝撃的なサウンド。アーノンクール一家によるモーツァルト父子の手紙の朗読CD付き。
●稀代のモーツァルト指揮者アーノンクールによるモーツァルト10歳代の交響曲集。1980年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのモーツァルト：交響曲第35番「ハフナー」を録音して以来、交響曲、セレナード、オペラ、そして宗教声楽曲に渡るモーツァルトの作品の演奏・録音を手がけ、今や最も重要なモーツァルト指揮者といえるアーノンクール。このアルバムは、交響曲第1番を含むモーツァルト最初期の交響曲を11曲収録。若書きの作品だからといって手を抜くことのないアーノンクールの鮮烈なアプローチはここでも健在である。
●一作ごとに神童ヴォルフガングの天才的な成長ぶりを刻印した初期交響曲。演奏会でもあまり取り上げられないため見過ごされがちなモーツァルト最初期の交響曲であるが、いずれも神童ヴォルフガングの天才的な成長ぶりを一作ごとに刻印した力作ぞろいである。彼にとって最初の交響曲となった変ホ長調K.16とニ長調K.19は、1764年から65年にかけてのロンドン滞在中に書かれたとされ、後者は特に第1楽章で当時ロンドンを席巻していたJ.C.バッハの交響曲様式の諸原理を把握していることを示している。K.22は、明確な輪郭を持つ形式で書かれ、小規模な模倣的書法においてテクステュアを自在に扱う、より成熟した技術を示している。K.43～K.48はウィーン滞在中に書かれたもので、やはり当地の交響曲作曲様式の影響を受けており、力強いオーケストレーションによるK.43、オペラブッファを思わせる活発なK.45、強力な推進力と目覚しいテクスチュアを示すK.48など、それぞれが個性的な作風を露わにし始めている。K.73とK.75は2回目・3回目のイタリア旅行中とそれぞれの旅行の間に書かれ、軽いテクスチュア、生き生きとした機械的な弦楽器の装飾音型、簡潔な主題素材などのイタリア様式の影響を受けている。
●モーツァルト親子の間で交わされた手紙をアーノンクール一家が読み聞かせる朗読ボーナスCD付き。ボーナスディスクは、ちょうどこれらの交響曲が作曲されていたころに父のレオポルトとの間で交わされた手紙を、アーノンクールと彼の孫とが読みついだ朗読CDとなっている。演奏にも演劇的所作を求めるアーノンクールのオーストリアなまりの入った語りは、レオポルトやヴォルフガングがしゃべっていたドイツ語の再現ともいえるユニークなものである。

タワーレコード （2009/04/08）