ビートは時代とともに変わるが、メロディーはエヴァーグリーンなものだ、という考えに僕は賛成しない。注意深くならなくても、時代によってメロディーにも流行があることがちょっと音楽を聴けばわかることだ。60年代と70年代のメロディーは違う。80年代には60年代のメロディーがリヴァイヴァルされることが多く、90年代には70年代のメロディーがリヴァイヴァルされることが多かった。もっとも、これは世界的な流れの話で、音楽の話をするとき、日本では〈日本の事情〉を考慮に入れなくては、もちろんいけない。そして2004年の現在、僕たちが囲まれているのは、恐ろしく馬鹿げたメロディーからなっている音楽が日本で流通されているという事情だ。LOW IQ 01は、本当に音楽を愛し、音楽を知っている人なのだろう。ここでは絶妙なロックが演奏され、歌われている。ロックは微妙なバランスの上で成り立つ音楽で、何かが欠けるとダサいパワー・ポップになってしまう。LOW IQ 01は、その絶妙なバランスで、切ないメロディーでロックすることができるアーティストで、これは精神的なガキにはわからない。ロックは、ガキから大人になる前後に初めて感じることができる音楽だから。演奏に自信がなければお話にならないが、その自信が押し付けがましいと説教臭くなる。LOW IQ 01にはそれがない。かといって、おずおずしているのでもない。彼はのびのびと歌い、演奏している。稀なアーティストの稀な傑作。
bounce (C)荏開津 広
タワーレコード(2004年07月号掲載 (P66))
移り変わりの激しい日本のロック・シーンで、良い意味でマイペースな活動を続けるLOW IQ 01が、シングル2枚を挟みつつ、2年8か月ぶりの新作『MASTER LOW 3』をついに完成させた。スマッシュ・ヒットとなったシングル“YOUR COLOR”“SWEAR”は当然のことながら収録……されていません! 〈シングル曲満載で、あと数曲入れてアルバム完成〉というイージーさの横行する世の中の流れとは別の発想。そんなところからも、彼の音楽の捉え方、作品ひとつひとつに対する実直な思いが伝わってくる。で、本作は、イッチャンのメロディーメイカーとしての素晴らしさもさることながら、アレンジャーとしての力量がさらにアップした内容になってます。ロック、ソウル、スカ、ファンク、ボサノヴァ、ディスコなど、さまざまなサウンドを、ジャンルとしてのミクスチャーではなく、自分の音としてしっかり昇華。〈AIR JAM系〉と一括りににされてた頃が懐かしいとさえ思えるほど、アーティストとしての成長度は目を見張るものがある。例えば、聴き触りの変化といえば、ギターの音。これは「ストラトを全面的に使ったから」だという。また、シングル・コイルの音の歪みの心地良さとか、その辺のこだわりもさすが。リリース・ペース云々に翻弄されることなく、良いものを作って、しかもセールスがしっかりあって、それでいて変にマニアックってわけでもないし。音楽好きからキッズまで網羅できる、ちょうどいいラインの音を作れる人ってなかなかいません。ある意味、今バンドやってる人たちにとっては理想的な存在なんじゃないだろうか。迷いに満ちてる今の日本のロック・シーンに一石を投じる作品、そんな言い方もあながち大袈裟じゃない!?
bounce (C)土屋 恵介
タワーレコード(2004年07月号掲載 (P66))