(全16件)
モーツァルト: レクイエム KV.626 (ジュスマイヤー版に基づく弦楽四重奏編曲版)
クイケン四重奏団
「リヒテンタールという作曲家による・・」この程度の紹介文しか書けないレビュアーなど存在価値はありません。別の人に書いてもらった方が良かったでしょう。リヒテンタールはモーツァルトの息子カールの近しい友人であり、弟子であり、何よりもモーツァルトの弦楽四重奏曲をこよなく愛した人なのです。元祖モーツァルト・オタクによる入魂の編曲。弦楽四重奏にしたことで、和声やポリフォニーなどがよりはっきりと確認できます。
Chopin: Oeuvres pour Piano / Gyorgy Cziffra
モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団、他
エチュードが爆演。ひたすら爆発。ただそれだけ。シフラのファンで「20世紀の偉大なるピアニストたち」を買い逃した人がいるとは思えないのだけれども、もし持っていないのであれば絶対買い。というか、買え。
Brahms:Piano Sonata No.3 op.5/Intermezzo/etc(12/2001):Evgeny Kissin(p)
エフゲニー・キーシン
メリハリのあるタッチはそのままに、弱音部の表現が格段に上手くなった。今までどちらかというとコントラストの強い音楽を作り出していたキーシンだが、これによって淡い色彩感の獲得にも成功したと思う。結果として、青年ブラームスの力強さと同時に、繊細な心の動きを表すナイーブさを併せ持った絶妙な演奏に仕上がった。見事である。
Tchaikovsky: Piano Concerto No.1; Mendelssohn: Piano Concerto No.1
ラン・ラン
ラン・ランはいろいろやりたい年頃なのだろうが小細工が多すぎる。本質的に音楽と結びついた表現になっているのか、今一度自問してほしい。チャイコの第二楽章などカプリッチョ的な曲想の表現は抜群だが、第一楽章は理屈がつかないほど滅茶苦茶。バレンボイムのサポートは堅実だが極めて平凡。
Grieg , Schumann : Piano Concertostos / Andsnes , Jansons , Bpo[CCCD]
グリーグでのアンスネスの演奏はまさに完璧。ヴァージン時代に録音した方がもっと瑞々しいのだが、この録音くらい落ち着いていた方が曲調に合っている。シューマンはもう少し音色・フレーズ・リズムなど、何らかのこだわりが欲しい。彼はピアニストとしての基礎能力が高すぎるのか、どんな難所も楽々弾けてしまう(弾いてしまう)のが欠点である。あとCCCDになっているのが許し難いので合わせて2点減点。
Beethoven: Vladimir Horowitz Edition- Piano Sonatas "Moonlight" etc
ホロヴィッツらしい魅力がほとんど感じられない選曲。ワルトシュタインは聴けるけれどもあとの2曲は・・・。およそホロヴィッツ向きでない曲目で、誰の意向で録音するハメになったのか、その経緯の方が興味深い。それにしてもマスタリングが悪く、非常に堅く潤いのない音色になってしまっているのが痛い。
Cecilia Bartoli - The Salieri Album
Fischer, Ad m/Orchestra of the Age of Enlightenment、他
私のお気に入りディーヴァなので当然買いなのである。しかし選曲が良い。ご多分にもれず、サリエリはモーツァルト暗殺犯人としてしか認識していなかったが(←冗談ですよ)、一流の作曲家であったことを再認識させてくれる。それにしてもバルトリうますぎ。たぶん試聴機に入ってるから1曲目だけでも聴いてみて。
Tchaikovsky: Sleeping Beauty, Nutcracker
ワレリー・ゲルギエフ、他
いずれの組曲も数曲を抜粋したのみで欲求不満の残るCD。「くるみ割り」はゲルギーお得意のパ・ド・ドゥが収録されておらず憤死もの。演奏の濃さも全曲盤の方が遙かに上であり、このCDは80年代のゲルギーを聴きたいコアなファン向けのアイテムと言えそう。
ショパン: スケルツォ集 / イリーナ・メジューエワ
イリーナ・メジューエワ
細い腕からは想像できない強力なフォルテシモを生み出す鍵盤のK1ファイター。ショパンらしい詩情も、旋律の美しさも、すべて無視。ひたすら工事現場のようにドカンドカンと鍵盤を叩く。妖精のような外見からは想像できない演奏です。トンデモ盤。
フジ子・ヘミングの奇蹟 ~リスト&ショパン名演集~
フジコ・ヘミング
この人にまつわる逸話を知っている人だけが感動できるCD。それ以前の問題として、弾けている曲と弾けてない曲の落差が大きすぎます。実に風通しの悪い「木枯らし」、かと思えば軽やかで洒脱な「黒鍵」を披露する。弾けない曲まで無理して録音することはないと思うのですが、レパートリーが少ないのでしょうね。
Chopin : Etudes op. 10 & 25 etc / Yu Kosuge
小菅優
良くも悪くも、お上手なお子さま。日本ではこういう演奏(均一なタッチ、正確な打鍵)は非常に誉められるのですが、楽曲表現という観点からは甚だ疑問の残る演奏ばかり。これで下手なら「将来が期待」とか書けるのですが、なまじ完成されてるので期待のしようがありません。
Murray Perahia plays Bach
マレイ・ペライア、他
グールド以外で「ピアノでバッハ」を選ぶとしたら、現状ではこの人が最右翼になる。基本的には今までのペライアのバッハ録音と同じ傾向だが、このCDはフレーズの掘り下げが浅めで、走句をさらりと流す傾向が強くなっている。曲全体のまとまりを重視したようだが、もう少し細部についての克明な表現があっても良いように思える。このあたりに好き嫌いが出そうな演奏。
ベートーヴェン: 交響曲第6番《田園》
カルロス・クライバー、他
20年待たされたあげくこの程度ではファンが許さない。カセットテープのようなレンジの狭い音質も問題がある。演奏そのものはクライバーらしさを存分に感じさせてくれるけれども、速いテンポにオケがついていけず全体に上滑りしている。
Evgeny Kissin in Concert
これはおもしろい。近年の安定感のある表現に比べなんと危うく、脆い演奏をしているのだろう。実にスリリングで緊張感あふれるライヴ録音で、少年ならではの線の細さも感じさせてくれる貴重な記録。キズの多い演奏ではあるけれども、あなたがキーシンのファンなら★5つ。文句なく買うべき。
Haydn : Konzert fur Vc un Orchestra etc / Hidemi Suzuki
在京古楽オケからメンバーを寄せ集めて作った楽団なので、ところどころアンサンブルの息が合わないのは仕方ない。鈴木さんの独奏はヴィルトゥオジティに溢れ、爽快で良かった。しかしスポンサーになっている新聞社が、自社の新聞でこのオケの演奏会やCDの賛美をひたすら繰り広げる図は滑稽を通り越して悪趣味である。自作自演が得意な某社らしいといえばそれまでだが。
Liszt, Chopin, Mozart - Piano Concertos
マルタ・アルゲリッチ
姐さん、やりすぎです。オケも指揮者も(聴衆も)ついていけない猛烈な切れっぷりです。演奏の完成度はイマイチ。でも、ライヴのアルゲリッチを知りたい人はぜひ聴きましょう。
商品詳細へ戻る